佐藤公哉＆タキ井上GP2放談！（6）：GP2は出てませんけどね

2014年シーズンのGP2シリーズにカンポス・レーシングから今季から参戦している佐藤公哉だが、GP2第6大会ホッケンハイムは、タイトルを争うAUTO GPレッドブルリンクへの参戦を優先するため、参加しなかった。マネジメントチーム兼レーシングチームであるユーロノヴァ・レーシングのオーナー、“タキ井上”こと井上隆智穂はホッケンハイムに向かったが、公哉にレース後、電話をかけた。

●フェラーリ入りもおかしくないよな！
井上隆智穂（以下タキ）：もしもーし、公哉くん？
佐藤公哉（以下公哉）：お疲れさまです。公哉です。
タキ：電話、聞こえる？
公哉：はい。大丈夫です。
タキ：シルバーストンのGP2で痛めた身体は治った？
公哉：いや、首や背中は落ち着きましたが、腰はまだ痛いですね。
タキ：で、レッドブルリンクのAUTO GPはどうだった？
公哉：運転できないほどではありませんが、キツイかったです。
タキ：モナコの時のフィジオはやっぱり必要かな？
公哉：あのフィジオはプロフェッショナルですしね。
タキ：うん、ちょっと待って。どうしたものか考える。
公哉：よろしくお願いします。
タキ：ところでレッドブルリンクのAUTO GP、1レースめはほぼ完璧な優勝だったね。公哉：はい。スタートの出遅れが余計でしたけれど、ピットストップ戦略もコース上で追い抜いたのも良かったと思います。
タキ：ただ、2レースめは……。ホント、ポンコツで申し訳ない。いまどきサスペンションが折れちゃうなんて、あり得ないでしょ！
公哉：でも、低速コーナー出口でクルマの車高がガタンと傾いたので、不幸中の幸いでした。高速コーナーとかストレートじゃなくて良かった。一時はトップを走っていたケビン・ジオベーシも、左リアサスペンションが折れてリタイアしていましたね。
タキ：そのジオベーシ、ケータハムF1の育成ドライバーになったのは知ってる？
公哉：ええ、インターネットでちらっと見ました。
タキ：AUTO GPでランキング4位のジオベーシがケータハムF1の育成ドライバーだよ？　だったら、AUTO GPでランキングがダントツでトップの佐藤公哉は、フェラーリF1の育成ドライバーになってもおかしくないよな！
公哉：よろしくお願い致します！
タキ：……（汗）。

●GP2は難しいのよ
公哉：それはそうと、井上さんはホッケンハイムのGP2へ行ってましたよね？　どうでした？
タキ：今回は公哉くんも含めてドライバーの顔ぶれが少しシャッフルされていたけど、前半戦と様子が少し違った感じだったね。いつも上のドライバーが下に居たり、いつも下のドライバーが上にいたり。ブルーノ・ミシェル（GP2の運営責任者）が、何かボタンを押したんじゃないかな？
公哉：本当ですか！
タキ：いやいや、冗談。それはともかく、決勝の2レース目は雨の影響もあったけれど、まるでコメディショーを見ているようだった。ただ、強いドライバーは荒れたレースでもしっかり上に来るよね。まあ、4年も5年もGP2をやっていれば、誰だってあのくらいは走れるようになるけどな。
公哉：ユーロノヴァが送り込んだ僕の代役はどうでした？
タキ：アレクサンダー・ロッシ？　速かったよ。
公哉：……（汗）。
タキ：だって、ロッシは2009年からアジアのGP2に乗っていて、GP3で1シーズン、フォーミュラ・ルノーで2シーズン、そしてヨーロッパのGP2は今年で2シーズン目だよ。ロッシは公哉くんよりも年下だけど、大きなフォーミュラカーの経験は彼の方がだんぜん豊富なんだから。
公哉：そうは言っても……。
タキ：それにロッシが苦労していたケータハムのクルマだって、代役のトム・ディルマンが乗ったらいきなり予選4番手でしょ。経験があってもGP2は難しいのよ。F1チームがギンギンにネジを巻いてきているGP2ドライバーだって、決して簡単に戦えていないのは分かるでしょ。
公哉：それはそうですが……。

●ピザ屋の女のコ、約1ヶ月の変化
タキ：ところで、AUTO GPのタイトル争いはかなり有利になったわけだけれど、レッドブルリンクにはもうひとつのタイトルを取りに行ったんでしょ？
公哉：身に覚えがありませんが……。
タキ：またまたー、とぼけちゃって。聞いてるよ、ピザ屋の女のコ。
公哉：え？　誰から聞いたんですか？　まったくもう……。
タキ：ふふふ。GP2のときはかなりアタックしたんでしょ？
公哉：アタックしていませんよ。まあ、たしかに少しプッシュしましたけれど。
タキ：プッシュどころか、宿泊先の部屋の合鍵を渡したとか聞いているよ。
公哉：さすがにそれは大きな尾ひれが付いています……（汗）。レースでオーストリアに来ているという話をして、どこに泊まっているかと訊かれたんで、ピザ屋の並びの宿に泊まっていると答えただけですよ。で、連日通ったけれど何事もなく、「また来年ね！」と言われておしまいでしたよ。
タキ：でも、それがわずか1ヵ月後の劇的な再会でしょ？　何もないほうがおかしいじゃん。首尾はどうだったのよ。
公哉：それがですね。彼女、わずか1ヵ月でかなりポッチャリしていたんですよ。
タキ：公哉くんに会えなくなってヤケ食いしてたとか。
公哉：そんなことはないと思いますけれど。
タキ：で、そっちのタイトルは取れそうなの？
公哉：いやいや、GP2のタイトルを取るくらい難しそうです。
タキ：……（汗）。
公哉：まあ彼女とは縁がなかったということで。ところで、次のハンガロリンクのGP2、ボス（ユーロノヴァ社長のヴィンチェンツォ・ソスピリ）は行かないと言っていましたが、まさか……。
タキ：その、まさか……です（汗）。ブダペストでは日本料理を食いに行こうよ！ 週末3日間連続でもいいよね？　たくさん食べて、がんばってね！
公哉：…………。
（ツーツーツーツー）
タキ：あれ？　電話、切られちゃったのかしら……（汗）。