スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションの坂東正明代表は、7月20日にスポーツランドSUGOで開催されたGTA定例記者会見の中で、2015年からFIAフォーミュラ4規定のレースを開催するために正式にJAF日本自動車連盟に名乗りを上げたことを明らかにした。
FIAフォーミュラ4は、現在日本で開催されているF4とは異なるもので、FIA国際自動車連盟がF3を目指す15歳からの若手ドライバーのための下位カテゴリーとして導入を目指しているもの。F3並みの安全基準をもったカーボンモノコックシャシー、140~160馬力のエンジンを搭載しながらも、厳しいコストキャップが敷かれている。
また、FIAの計画では各国のASN(日本で言えばJAF)がシリーズを運営するか、ASNとプロモーターがシリーズを運営する形で世界各国でF4レースを開催する方向となっており、GTAは今回プロモーターとして名乗りを上げた形になる。坂東代表は昨年の最終戦もてぎの際も、FIA-F4開催の意志があることを明らかにしていた。
正式にGTAがFIA-F4のレースを運営することはの決定はまだ先になるが、坂東代表はフォーミュラチャレンジ・ジャパンが昨年で終了したことをうけ、「フォーミュラの若手育成、子どものころからの交通ルールのマナーの認識、啓発活動みたいなものをしっかりと作って、将来性を求めた構図がきちんとできるようにやっていきたいと思う」とFIA-F4のあり方について展望を語る。
また、坂東代表によれば、今回作るFIA-F4は現在ニッサンとグランツーリスモがヨーロッパで進めている『GTアカデミー』のようなドライバー育成プログラムを作り、アジア各国を含め広く将来性あるドライバーを募り、育てたいという意向を示している。
このFIA-F4については、現在イタリアで先行した形でレースがスタートしており、タトゥース製のシャシーが戦っているほか、ダラーラ、ミゲールなどのシャシーメーカーがF4開発を目指している。また、日本でもすでにJMIA日本自動車レース工業会が、童夢F110シャシーの概要を公開。坂東代表によれば、8月のスーパーGT第6戦鈴鹿で、GT300マザーシャシーとともにお披露目したいとしている。
FIA-F4は、先述のとおり『15歳からの若手ドライバーのための下位カテゴリー』とされている。ただ、日本では普通自動車免許の取得が18歳からで、さらにそれよりも早く四輪カテゴリーに参加するためには、16歳からレース参戦のみの目的のために取得できる『限定Aライセンス』を取得しなければならない。そのため、レーシングカートで頭角を現し1年でも早く四輪を戦うためには、15歳からライセンスが発行できる外国に渡らざるを得ない。
そこで坂東代表は、あくまでまだGTAとしての案であるという前置きをしつつ、限定Aライセンスが15歳から取得できるようにしたいという希望を示した。
「FIAは各国に任せているんだけど、15歳から取得できる国というのがある。ドイツなんかは16歳なんだけど、できることなら他の国もやっているので、15歳でやりたい。15歳で限定Aを発行できるようになってくれば、もっとカートから上がってくる人たちのステップアップが果たせるはず」と坂東代表。
この限定Aライセンスは、日本では2000年から施行されたもので、今季は6月時点で16件の申請があり、例年10数件の申請があるという。条件を満たしていれば(満たしていない場合は要審査)四輪レースに参加できるライセンスを取得でき、これまでも日本で初めて限定Aを取得し四輪デビューを飾った伊沢拓也をはじめ、平手晃平など多くのドライバーが限定Aを使ってステップアップを果たしてきた。
とは言え、近年ヨーロッパではF1にステップアップするために1年でも早く四輪に上がり成績を出し、“青田買い”されることが主流になってきている。世界で戦えるドライバーを輩出するためのFIA-F4の今後、そして限定Aライセンスの動向については、日本のモータースポーツ界において大きな関心事となっていきそうだ。