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スーパーGTとDTMのコラボレーションはまずテストから? 来季日本と中国で実施か

2014年07月22日 12:50  AUTOSPORT web

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今季の新GT500車両とDTMの車両。車両外観はほぼ共通化されている。
今季、スーパーGT500クラスはDTMドイツツーリングカー選手権と車両規定を統一化し、新たな規定が導入された。すでに第4戦SUGOまでが終了しているが、世界中のモータースポーツファンが注目しているのは、近い技術規定のふたつのレースの車両が競い合うシーンではないだろうか。これについて、GTアソシエイションの坂東正明代表がオートスポーツの質問に答えた。

 DTMとスーパーGTは、2009年からDTM側の呼びかけにより車両規則統合について話合いを開始し、2012年10月に両者間で契約を締結。その後北米IMSAを含め日独米の間で統一車両規定導入を目指しており、2013年7月に行われた三者による会合『ステアリング・コミッティー』では、2017年の完全規則統合を目指す方向性が示されていた。

 その17年の完全規則統合に先立ち、DTMでは2012年から、スーパーGT500クラスでは2014年からこの規定を使ったレースがスタート。ただ、両者の間では無給油スプリントでタイヤはワンメイク、4リッター自然吸気V8を使うDTMに対し、セミ耐久で給油・ドライバー交代がありタイヤはマルチメイク、2リッター直4直噴ターボのGT500と、両者には性能差がある。現状では新GT500の方がDTMより速いのが実情で、新GT500の開発状況はDTM側も大いに注目している。

 とは言え、ファンにとっては両者が混走するレースの開催、あるいはスーパーGTにDTMで活躍するBMW、アウディ、メルセデスベンツのいずれかが参戦するようなシーンを期待せずにはいられない。もしそういったイベントが実現すれば世界中の注目を集めることになり、両シリーズにとってもメリットが大きい。実際、今年1月のステアリング・コミッティーでも交流イベントの実現が示唆されたほか、今年4月にスーパーGT第1戦を訪れたDTMを運営するITRの代表、ハンス-ベルナー・アウフレヒトも「DTMとスーパーGTのすべてのマニュファクチャラーが一緒に走ることを、すべてのメーカーが望んでいると思う。その目標に向けて動いていきたい。そしてそれはファンの望むことでもある」と述べている。

 そんな両者のコラボレーションについてGTA坂東代表は、20日に行われたGTA定例記者会見の場で、オートスポーツの質問に対し「先日ドイツのシュツットガルトにあるITRに行き、今後どんな構造と構想を立ててやっていこうかという話をしてきた」と語った。

「我々としては規則統合を2017年としているが、そこに向けてできる限り合わせるように努力していく。その合わせる度合いが80%なのか90%なのか。100%にはならない。なぜならスーパーGTはタイヤのコンペティションを止めないし、エンジンも個々のメーカーが作る。それにもしハイブリッドが採用されても、日本のマニュファクチャラーに対しては、自分たちが作る。まったく同じものを使うというのは基本的にはないので、その立場を踏まえてどれだけ近づけられるかという努力をしていく」と坂東代表はスーパーGTとしての立ち位置を語った。

 それを踏まえて、坂東代表は両者のマシンがコラボレーションする機会については、2015年にテストという形でまず実現させたい意向を示した。先述の通り、両者のマシンは現状パフォーマンスに差があり、「排気量もタイヤも違いルール上の部分で差があり、DTM側にもプライドがあるだろうし難しい部分が多い」と坂東代表はレースの実現は当面は難しいと語る。

「今年、DTMのレースが広州である。たぶん開催地はズーハイになるだろうが(9月28日決勝)、そのタイミングでは我々がタイでレースがある(10月5日決勝だが、船便で車両を運ぶためその前には日本を出ている)ので、広州に持っていくことはできない。そこで、2015年の広州のレースの日程をずらして欲しいと伝えた」

「レースはできないが、テストならどうだろうと。公開テストデーとして、10月のこちらのレースが外れている時に、レクサス、ニッサン、ホンダの3メーカーのマシンを最低でも1台ずつ持っていき、DTMのテストで走る。その代わり、DTMの広州のレースが終わったら、BMW、アウディ、メルセデスベンツの3台を日本に持ってきてもらい、こちらでテストデーを開催して日本の皆さんにも見て頂こうと思う。その形でスタートしたい」

 ちなみに、20日に決勝が行われたスーパーGT第4戦SUGOでは、アウディスポーツのDTMプロジェクトの代表であるディーター・ガスが来日し、初めてスーパーGTを視察した。坂東代表とも会合をもったというが、「日本のレースの説明をしたり、議事録に残るほどのものではない」とのこと。日本メーカー関係者も頻繁にDTMを視察している状況もあり、今後両者のコラボレーションはさまざまな形で模索されていくことになりそうだ。