2014年F1第10戦ドイツGPは20日(現地時間)、フランクフルト郊外のホッケンハイムリンクで67周の決勝レースが行われ、メルセデスAMGのニコ・ロズベルグが今季4勝目、通算7度目となるトップチェッカーを受けた。ケータハムの小林可夢偉は16位でフィニッシュした。
メルセデスを駆るドイツ人ドライバー、ロズベルグがポール・トゥ・ウインで母国GP初優勝を飾り、タイトル争いで再びリードを広げた。今回のレース直前、メルセデスが最大のアドバンテージを持つと言われていたFRIC(前後サスペンションのダンパーを連結したシステム)の使用が禁止され、彼らの圧倒的な速さが少なからず削られるのではないかとの見方があった。しかしレースはポールスタートのロズベルグがライバルを寄せつけない走りで終始独走、予選のクラッシュで20番手スタートとなったルイス・ハミルトンも驚異の追い上げで3位表彰台を獲得するなど、改めてその強さを見せつける結果となった。
レースはオープニングラップの1コーナーで2列目スタートのフェリペ・マッサとケビン・マグヌッセンが接触し、マッサのマシンが横転するという激しいクラッシュで幕を開けるが、3周目のレース再開後はロズベルグがファステストラップを連発しながら2番手ボッタス以下を引き離す展開となった。
ロズベルグは15周目の最初のピットストップまでに後続に約10秒のギャップを築くと、2番手ボッタスも同じ周にピットインしたためトップでコースに復帰。その間、2番手にはソフトタイヤでスタートし、最初のスティントを引き延ばしたハミルトンが浮上。これで上位はロズベルグ、ハミルトン、ボッタスの順となり、4番手以下に1周目の混乱でポジションを上げていたセバスチャン・ベッテルとフェルナンド・アロンソが続く形となる。
トップを走るロズベルグの勢いはセカンドスティントでも衰えず、ピットアウト後にハミルトンをパスした2番手ボッタスとの差をさらに拡大。レース30周時点で14秒のリードを築くと、早くもペースをコントロールする余裕を見せる。
一方、26周目に最初のピットストップを行った暫定3番手のハミルトンは、最初のスティントでオーバーテイクに苦戦したダニエル・リカルドを今度はすぐにパスするものの、ジェンソン・バトンを追い抜く際にこの日2回目となる接触を起こしフロントウイングの翼端版を破損、苦しいレースを強いられる。
しかしハミルトンは徐々にポジションを上げていくと、42周目に暫定2番手で2回目のピットに向かい5番手でコースに復帰。さらに50周目に最後のピットストップを行ったハミルトンは同じ3回ストップのベッテル、アロンソを交わし、ついに3番手のポジションを手に入れる。
ハミルトンは終盤、2番手を走るボッタスとの差も縮め、60周を前にウイリアムズの背後を捉えることに成功。ハミルトンはそこからボッタスにバトルを仕掛けていくが、ボッタスもFW36のトップスピードを活かしてメルセデスのオーバーテイクを許さず、2台のバトルはチェッカーまで続くこととなった。
結局レースは最後まで独走だったロズベルグが母国グランプリ初優勝を達成。タイトル争いでも2位ハミルトンとの差を4ポイントから14ポイントまで広げた。
2位は最後までハミルトンを抑えきったボッタスに軍配。アロンソとの争いを制したベッテルが4位となった。アロンソはレッドブルと互角の走りを見せたが、最後にレッドブルのもう一台を駆るリカルドを抜きあぐね、ベッテルに戦いを挑むことができなかった。