連日気温30℃以上、路面温度も50℃以上に達するほどの暑さの中で行われているドイツGP。しかし、日曜日のホッケンハイムリンクは、朝から雨が降ったり止んだりという生憎のコンディション。気温も午前11時の段階で気温23℃、路面温度27℃(土曜日の同時刻のコンディションは気温28℃、路面温度43℃)と、3日間で最も低い。GP2のレース2も序盤はウエットコンディションでスタート。しかし、レース後半はドライタイヤで走行するまでに路面コンディションは回復している。だが、日曜日のホッケンハイムリンクの天気予報は午後に雷が訪れるかもしれないとしており、実際南方では雷鳴が轟いている。
今回投入されたタイヤはピレリの組み合わせの中でも最も軟らかいスーパーソフトとソフト。どちらも作動温度領域が低めに設定されて開発されたタイヤということもあり、日曜日の雲はタイヤに厳しいウイリアムズ勢にとっては、恵みの雲となっているに違いない。
ビレリのマリオ・イゾラ(レーシングマネージャー)によれば、「オーストリアGPと同じスペックのタイヤだが、レッドブルリンクよりも路面はホッケンハイムリンクのほうがスムーズなので、路面温度が40℃あたりであれば、スーパーソフトは20周以上、ソフトは約35周走ることは可能。その場合は1ストップも不可能ではない」と語る。ただし、「現実的には2ストップか3ストップだろう。その場合、2ストップはSS-S-Sというローテーションで、3ストップはSS-SS-SS-Sという組み合わせになるだろう」と予想する。
今季2度目フロントロウを獲得したウイリアムズのバルテリ・ボッタスには初優勝のチャンスもあるだけに、スタッフにも気合いが入る。ボッタス担当のメカニックである白幡勝広は「素晴らしいタイムアタックだった。エンジニアの中には予想していた人がいたかもしれないけど、メカニックとしては嬉しい驚き。なんかオーストリアGPで表彰台に上がってから、ドライバーとして開花したみたいですね」と土曜日の予選結果を素直に喜び、「レース後に、表彰台の下でまた会いましょう」と意気込んでいた。
予選7番手に終わったフェラーリのフェルナンド・アロンソは「メルセデスやウイリアムズと戦うのは厳しいが、今回はレッドブルの2台とマクラーレンの1台とは戦えると思う」と、リラックスした表情でレースに臨む。
そのアロンソが警戒するのは、予選でクラッシュして16位に終わったルイス・ハミルトン。そのハミルトンは予選後にギヤボックス交換を決断。現時点で21番手スタートとなっている。ハミルトンはすでに予選で問題を起こしたブレンボ製のブレーキディスクからニコ・ロズベルグと同様のカーボン・インダストリー製に交換しているが、関係者の話によれば、「異なるスペックでも重量とサイズが同一ということで、ピットレーン・スタートが義務づけられることはなく、グリッドからスタートすることになるだろう」と語っている。
メルセデスAMGがタイトル争いで独走して凱旋したにも関わらず、観客の入りが悪かった序盤2日間。日曜日も生憎の天候で、スタンドの入りは出足が鈍い状況。そんな状況を尻目に、メルセデスが母国で1954年以来、60年ぶりの優勝を飾ることができるのか。注目の一戦は現地時間午後2時(日本時間の21時)にスタートが切られる。
(尾張正博/F1速報)