今回の予選も、実に見応えのある内容でした。ルイス・ハミルトンのクラッシュは残念でしたが、Q3でのニコ・ロズベルグの驚速タイムに果敢に挑んでいったバルテリ・ボッタスという構図は、鳥肌モノ。オーストリアGPに続き、予選でまたもメルセデスAMGを苦しめたウイリアムズは、決勝でもトップに迫る速さを発揮し、白熱した先頭争いを見せてくれるのでしょうか?
金曜日、フリー走行2回目の結果を信用するならば、スーパーソフトタイヤでのペースはメルセデスAMGもウイリアムズもほぼ互角でした。なのでスタート直後は、ロズベルグ、ボッタス、フェリペ・マッサの3台による接近戦となるでしょう。この3台は最高速でもトップ3であり、速度差もほとんどありません。つまり、コース上での順位変動は実に困難だということ。スタートでトップに立ったマシンを先頭に、付かず離れずのレースが進むことになるでしょう。
勝負の分かれ目は、タイヤをソフトタイヤに交換してから。ソフトタイヤでのペースはメルセデスAMGの方が若干良く、デグラデーション(タイヤの性能劣化)もメルセデスAMGの方が緩慢です。ロズベルグはこの時点で先頭に立っていれば、かなりの確率で勝ちが見えてくるはずです。ウイリアムズとしては、スタートもしくはピットストップでロズベルグを逆転しておかないと、デグラデーションにより徐々に差を広げられてしまうことになるかもしれません。オーストリアGPのように“確実にポイントを獲りにいく”なら、そこまで気を遣う必要はないのかもしれませんが、ぜひ今回は“勝ち”を狙う積極策を見せて欲しいものです。
後方にも目を転じてみましょう。4番グリッドからスタートするのは、マクラーレンのケビン・マグヌッセンです。マクラーレンが決勝でどれほど戦えるのかは、正直分からないところです。フリー走行2回目では、ロングランのペースが極端に遅く、デグラデーションも非常に大きいものでした。決勝でもこのような傾向にあれば、トップ3からは徐々に離されていくことになるでしょう。マグヌッセンに引っかかってしまえば、5番グリッドのダニエル・リカルド以後のドライバーたちは、勝負権を失います。特にレッドブルの2台はロングランのペースが良さそうなだけに、一刻も早くマグヌッセンの前に出たいところ。フェルナンド・アロンソもレッドブルについて行きたいですが、今回は少々分が悪そう。表彰台争いに食い込むことは難しいと考えます。
Q1でクラッシュし、16番グリッドからのスタート(土曜日夜時点)のルイス・ハミルトンは、スタート直後から順位を上げてくることでしょう。ただ、レッドブルが早々にマグヌッセンを攻略してしまえば、ここに追いつくのは簡単ではないでしょう。それより心配なのは、クラッシュの原因となったブレーキのトラブルです。ただの製品不良だったのでしょうか? 決勝にはハミルトン、ロズベルグともに問題が起きたのとは別の会社のブレーキディスクを使う予定です。この対策で大丈夫なのかどうかは、決勝を見てみないと何とも言えません。
なお、ピレリは今回のタイヤ戦略について、18周目にスーパーソフトタイヤ、38周目にソフトタイヤに交換する2ストップを、最速の戦略として推奨しています。フリー走行の結果からは、スーパーソフトで20周を走破するのは不可能に思えますが、日曜日は気温が下がるという天気予報。デグラデーションに苦しんでいたチームにとっては歓迎すべき気候で、スーパーソフトでの20周走破も可能かもしれません。
ただ、歓迎できないことがあります。それは雨です。最新の天気予報では、13時~15時の間には降雨の可能性があるとされています。その雨がどのくらいの量になるのかは分かりませんが、波乱のレースを演出する可能性もありそうです。
(F1速報)