2014年07月20日 12:20 弁護士ドットコム
大都市圏で「地価」の回復が鮮明になってきた。国税庁が7月1日に発表した2014年分の路線価(1月1日時点)では、金融緩和の影響により、投資資金が集まる大都市圏で再開発が続くなどして、リーマンショック前の2008年6月以来、6年ぶりに東京、大阪、愛知でそろって上昇した。
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報道によると、五輪に向けて開発ラッシュが続く東京の上昇率は、震災復興の事業が続く宮城県の2.4%の次に高い1.8%だった。全体平均は前年よりも0.7%下落しているが、上昇した都道府県は前年の2県から8都府県に増えた。
この路線価は、相続税や贈与税の計算基準として用いられる。来年1月には、相続税の基礎控除が減らされ、最高税率も上がることもあり、今回の路線価に注目が集まっている。相続税を節税するための支援策やテクニックにはどんなものがあるのだろうか。荒巻善宏税理士に聞いた。
「相続税の課税対象となる方の多くが、不動産を所有していますが、このような時期だからこそ、早めの相続税対策が必要です」
荒巻税理士はこう切り出した。どんな対策が必要なのだろうか。
「まずは『相続税の試算』から始めるとよいでしょう。
自ら居住する宅地などに適用される『小規模宅地等の特例』で、大きく減額される可能性があります。
また、『貸家』や、その土地である『貸家建付地』を所有している場合も、評価減を受けることによって、想定していたよりも、相続税の負担が少なくなる可能性があります」
なるほど、まずは試算が必要になるようだ。
「試算の結果、やはり相続税の負担が大きいということでしたら、今度は具体的な相続税対策に着手していく必要があります」
どんなものがあるのだろうか。
「主な相続税対策は、以下のようなものです。
・毎年コツコツと生前贈与することで財産移転をする
・生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の人数)を活用する
・賃貸物件を建築することで相続税評価の引下げを狙う
・養子縁組によって法定相続人の人数を増やし、節税する
・小規模宅地等の特例を活用できるように居住環境を調整する
・ワンルームマンション投資で『時価』よりも『相続税評価額』を減額させる
これらは対策の一部ですが、大事なのは自分の家族や資産内容にあてはめて、有効な対策を選択して、実行することです」
来年1月の制度改正を控え、今後、相続税対策に注目が集まりそうだ。
【取材協力税理士】
荒巻 善宏(あらまき よしひろ)税理士・公認会計士・行政書士
相続税申告を専門に取り扱う税理士法人。揉めないための相続の生前対策や遺言の作成、相続関連セミナー等、相続税に関する相談に幅広く対応。低価格でスピーディに相続税申告を行い、開業から累計で800件以上の相続税申告実績がある
事務所名 : 税理士法人チェスター
事務所URL:http://chester-tax.com/
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