トップへ

インディカー第13戦トロントのレース1は雨のため延期に。SCもスピン

2014年07月20日 12:10  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

雨に見舞われたインディカー・シリーズ第13戦トロントのレース1
ベライゾン・インディカー・シリーズ第13戦『ホンダ・インディ・トロント』は、昨年に続いてダブルヘッダーの開催予定で、7月19日(土)に決勝レース1が行われる予定だったが、予選は曇り空の下でドライコンディションで開催されたものの、午後になってから小雨が降り出し、その後延期が決まった。

 トロントでは、スタート時刻が迫った午後3時半過ぎに雨は強さを増した。午後3時48分に「スタート・ユア・エンジン」の声が威勢良く掛けられ、23台がウォーミングアップラップへとスタートした。しかしバックストレッチで上がる水しぶきが激し過ぎ、ドライバーたちが充分な視界を確保できないとインディカーは判断。赤旗が出されて全車がピットロードに招き入れられた。

 ここでインディカーは各チームに10分間の作業時間を与えた。当初の想定よりヘビーウェットでの戦いになるとの読みからだった。そしてインディカーは、レースのスタートをスタンディング方式からローリング方式に変更。しかもシングルファイルによりスタートと、慎重さをもう1ステップ進める判断をした。

 予定のスタート時刻から50分も経過した4時40分。ようやくピットからマシンが再発進した。2周目にグリーンフラッグが振られる予定だったが、ドライバーたちにコンディションを認識させること、タイヤ温度を上昇させることなどを考慮して、インディカーはペースラップを1周増やすことにした直後、ライアン・ブリスコ(チップ・ガナッシ)がタイヤバリアにクラッシュ。ブリスコはそこでスタックすることなく最後尾からレースに参加できる状況だったが、次の周には隊列を引っ張るホンダ・シビックのペースカーがスピンした。ペースカードライバーは、インディ500で2度の優勝経験を持つアリ・ルイエンダイクだった。

 先導するペースカーがいないままポールポジションのセバスチャン・ブルデー(KVSH)はメインストレートへ。スタートが切られるはずがない状況だが、スタート目前のターン11で予選2番手のウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がスピンし、180度回ってマシンの左側から壁にヒット。グリーンは出されなかった。

 この後インディカーは4周し、5周目に今日2度目の赤旗が出された。この段階で、またインディカーはマシンへの作業オーケーの指示を出した。

「まだスタートが切られていない状況なので」とインディカーは説明していたが、ここでの作業許可は、この時点ですでにガレージにマシンを戻した12号車陣営が、左前後のサスペンション交換作業に取りかかっていたため、不公平との声が上がらないように……という理由しかないように思えた。

 5時11分、インディカーはレース周回数を85周から65周に縮め、レース時間の制限を2時間から1時間半に縮めることを発表した。ただ雨の状況が好転しないため、インディカーはこの後さらに長い時間レースをホールドし、さらにもう一度マシンに作業可能時間を与えたが、その前の5時半頃には、パワーのマシンは左の前後サスペンションが全面的に交換され、グリッド最後尾に並んでいた。

 そして夕方の6時13分、インディカーはついに今日のレース開催が不可能との判断を下した。ストリートレースが雨で延期されるのは、2011年のブラジル以来。あの時は15周走ってからストップし、翌日に40ラップを行なった。2010年のセントピーターズバーグは今回と同じように消化周回数ゼロで翌日に延期された。

 この後、インディカーは日曜日のレーススケジュールを、75周レースを2回行うと発表した。スタートはレース1が10時30分で、レース2が夕方の4時15分と発表。しかし迷走はさらに続き、レース周回数はこの1時間以上後に10周マイナスされ、65周×2レースと変更された。明日の天気予報も雨混じりのため、いずれのレースもレース時間は80分を越えないこととも決定がなされた。

「たしかにバックストレッチでの視界はゼロでしたが、レースはできたと思います。そのためにウエットタイヤがある訳ですし」とウエットレースを得意とする佐藤琢磨(AJフォイト)はレースの延期を残念がっていた。一方ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は、「ベストのコンディションではなかったのは間違いないが、レースができるか否かのボーダーラインだったと思う」とインディカーの判断に疑問を呈していた。

 また、トニー・カナーン(チップ・ガナッシ)は「危険な状態だった。安全こそ大事。赤旗は正しい判断だった」と話しており、「ファンのためにもレースをしたかったが、延期は正しい決定だったと思う」と多くのドライバーたちはコメントをしていた。

(Report by Masahiko Amano / Amano e Associati)