ドイツGPの予選Q1でクラッシュしたハミルトン。原因はブレーキのトラブルだった。土曜日の朝にハミルトンのブレーキディスクをカーボンインダストリー製からブレンボ製に交換していたことを、チームは予選後の会見で認めた。その理由をハミルトンは次のように説明している。
「ここはビッグブレーキングポイントがいくつかあって、その時のブレーキの感触がブレンボ製の方が良いと判断したんだ。というのも、僕は他のドライバーよりもブレーキを遅く踏む傾向にあるから、ブレーキペダルを踏んだ瞬間の感触がとても重要なんだ」
しかし、それが裏目に出た形となった。チームは予選後、緊急ミーティングを開いて、予選でトラブルに見舞われたブレンボ製のブレーキディスクの使用を断念。チームメイトのロズベルグと同じカーボンインダストリー製に戻すことを決定した。ただし、今回の問題はブレーキの変更を行ったハミルトンに原因があったわけではなく、「ふたりともグランプリごとに2種類のディスクを試して、自分のドライビングスタイルに合う方を選んでいる」と、偶発的な事故だったと説明している。
ハミルトンはブレーキをチームメイトと同じメーカー製に戻すとしたものの、ここでひとつ問題が発生する。それは現在のF1のレギュレーションでは、予選に参加するためにQ1で最初にコースインした瞬間からパルクフェルメ状態となり、マシンの変更は禁止されている。つまり、ブレーキのスペックを変更するハミルトンは、ピットレーンスタートとなる可能性があるということだ。
しかし、チーム代表のトト・ウォルフは「パフォーマンス向上ではなく、安全性が理由であれば、それは適用されない」という考えを示した。また、激しくタイヤバリアにクラッシュしたハミルトンのマシンは、ギヤボックスにダメージを受けている可能性もある。もしギヤボックスを交換する必要があれば、5グリッド降格。たとえピットレーンスタートを免れても、予選16位だったハミルトンは、21番手スタートということになる。
はたしてハミルトンは、日曜日のレースをどのポジションからスタートすることになるのか? いずれにしも、厳しい状況であることに変わりはない。
(尾張正博/F1速報)