2014年07月17日 21:31 弁護士ドットコム
谷垣禎一法務大臣は7月17日、東京・有楽町の外国特派員協会で海外メディア向けの記者会見を開き、外国人の「出入国管理」について、政府の取り組みを話した。
【関連記事:レイシストになる自由はあるか?社会学者・明戸隆浩氏が語る「ヘイトスピーチ規制論」】
2020年の東京オリンピックへ向けて、観光客を呼び込むための「ビザ発給要件緩和」や、外国人旅行客がスムーズに入国するための「待ち時間短縮」などに取り組んでいることを強調した。
また、多様な知識・経験持つ外国人を「高度人材」として受け入れるための法整備を説明。さらに、「外国人技能実習制度」が本来の目的から離れた形で利用され、人権侵害も起きているという指摘をふまえて、制度見直しに取り組んでいることにも言及した。
質疑応答で、外国人記者から「(外国人を呼びこむということだが)ヘイトスピーチ問題について、法的な取り締まりはどうするのか?」という質問が出ると、谷垣大臣は次のように答えた。
「ヘイトスピーチに関しては、たいへん恥ずかしいことだと思っております。
日本人はもっとおおらかな自信を持たなければいけない。自身に対するおおらかな自信をもつことができなくなっている。私はたいへん残念なことだと思っています。
これに関してはもちろん、いろいろな啓発活動をすることが大事です。
こういうことは許されることではない。政府として、閣僚として、政治家としても、あらゆる機会をとらえて発言していく必要があると思います」
「法的措置につきましては、私は京都出身ですが、京都におけるヘイトスピーチ活動について、裁判所は第1審・第2審ともに、その違法性を認めた判決を出しました。
しかし、取締法規ということになりますと、場合によると、言論の自由や表現の自由との関係がないわけではありません。それをどういう立法にしていくかは、相当注意を払わなければいけないと思います。
裁判所があのような判断を示しています。法務大臣は判決が適切かどうかについて論評をしないことになっていますが、ああいう判決が出されていることについては、十分に考慮して、いろんな対策を考える必要があると思います」
なお、谷垣大臣が言及した、京都の朝鮮学校付近での街宣活動の違法性が争われた訴訟については、街宣活動を行った団体が17日、最高裁に上告している。
(弁護士ドットコム トピックス)