全日本選手権スーパーフォーミュラ第3戦富士は13日、55周の決勝レースが行われ、終盤に雨が降り出す波乱の展開を制し、中嶋一貴(PETRONAS TOM'S)が今季初優勝。平川亮(KYGNUS SUNOCO)が2位、国本雄資(P.MU/cerumo・INGING)が3位となった。
昼すぎに雨が降り、路面はウエットに転じた富士スピードウェイ。とは言え、その後細かな雨粒は感じられるものの風が強いせいか路面は乾き、各車スリックでフォーメーションラップのスタートを切っていった。
迎えたスタートでは、2番手スタートのジョアオ-パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL)がホールショット! ポールスタートのアンドレア・カルダレッリ(KYGNUS SUNOCO)を1コーナーでかわし、リードを広げていく。その後方ではオープニングラップから激しい展開となり、ジェームス・ロシター(KONDO RACING)が1周目のダンロップコーナーでカルダレッリをパス。さらに、4番手スタートの一貴も2周目の1コーナーでカルダレッリをかわそうとするが、オーバーランを喫しポジションを落としてしまう。
後方では、スタート直後の1コーナーでビタントニオ・リウッツィ(HP REAL RACING)がクラッシュ。これに塚越広大(HP REAL RACING)、中山友貴(TEAM無限)が巻き込まれてしまい、HP REAL RACINGの2台は早々にレースを終えることになってしまう。
序盤、トップに立ったオリベイラは快調に後続とのギャップを築き、ロシター、カルダレッリ、アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S)、石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)、一貴と続いていく。上位陣は膠着状態のまま中盤戦を迎えると、27周目に石浦がまずはピットへ。それを皮切りに、30周目あたりまでに続々とピットイン。その中で、3番手を走っていたカルダレッリと4番手ロシターが同時にピットに向かうが、ここでPETRONAS TOM'Sのピットが素晴らしい作業をみせ、ピットでロシターが前へ。その他の上位陣は、順位の変動はなかった。
トップのオリベイラ、2番手ロシター、3番手ロッテラーはファステストを塗り替えながら終盤戦を迎えるが、レースが激変したのは残り12周を切ってから。サーキット全域で雨が降り出し、セクター3方面でかなり路面が濡れ始めたのだ。
これで、水を得た魚のように猛然と2番手ロシターとの差を詰め始めたのが3番手ロッテラー。47周目にロシターをかわすと、一気に首位オリベイラとの差を削りはじめた。そんな中、5番手を走っていた石浦がピットに向かい、ウエットタイヤに交換するギャンブルを敢行する。
強さを増す雨によりコースアウトするマシンが出てくる中、49周目のヘアピン立ち上がりで、それまで完璧なレースを展開していたオリベイラがまさかのスピン! コース中央でエンジンが停止してしまい万事休す。これでトップにはロッテラーが浮上した。
しかし、このオリベイラの車両回収のため、なんと残りわずかのところでセーフティカーが導入される。その間にも雨は強さを増し、SC中に一貴をはじめ、平川亮(KYGNUS SUNOCO)や国本雄資(P.MU/cerumo・INGING)、山本尚貴(TEAM無限)らがピットへ向かい、ウエットタイヤに交換する。
セーフティカーが解除されたのは、残り3周! トップを走っていたロッテラー、2番手ロシター、3番手に浮上していたカーティケヤンはスリックということもあり、再開1周目は大混乱となるが、その間隙を突きトップに浮上したのは平川! 一気に初優勝に向け水しぶきを上げ残り2周のストレートを通過するが、ブレーキが冷えていたせいか1コーナーでまさかのコースアウト。この間に、一貴がトップを奪っていく。
ファイナルラップ、一貴はしっかりと首位をキープし、コースに戻った平川、そして国本がトップ3になりそのままチェッカー! 天候を味方につけた一貴が嬉しい今季初勝利を飾り、平川と国本がシリーズ戦で初の表彰台を獲得した。ギャンブルが少々"早すぎた"石浦が4位、5位に山本という順位に。ロッテラーはスリックでなんとか走りきり、6位という結果となった。