2014年07月12日 13:21 弁護士ドットコム
ヨーロッパ南東部にあるバルカン半島で5月中旬から豪雨が降り続き、その影響で大洪水が発生した。報道によると、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、クロアチアでは、合わせて50人以上が亡くなった。今でも、多くの人びとが避難生活を送っているという。
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こうした状況から、被災した国の在日本大使館は、被災地支援のための「義援金」の協力を呼びかけている。とくにセルビアは東日本大震災の際、同国の赤十字を通して約1億9000万円の義援金を日本に送った国ということもあって、「恩返し」を呼びかける声が広がっている。
東日本大震災の際には、国や認定NPOなどに寄付すると、税金の控除が受けられる制度があった。今回のように、海外の被災地への義援金は「寄付金控除」の対象になるのだろうか。寄付金の控除を受けたいときに気を付けるべきポイントはあるのだろうか。税理士の廣升健生氏に聞いた。
「寄付金による税制優遇の制度としては、寄付金控除や寄付金の損金算入限度額の拡大などがあります。このような寄付金控除等を受けることができるかどうかの一番のポイントは、寄付金を渡す相手がどのような団体なのか、ということです」
どういうことだろうか。
「国や地方公共団体、国立大学、認定NPO法人など、国から『公益性が高い』とお墨付きをもらった法人(特定公益増進法人と定義されます)へ寄付金を渡した場合は、寄付金控除等の対象となると定められています。
そのため、目的が同じ『ヨーロッパの被災地への寄付金』であっても、あなたが寄付金を渡す団体によって、寄付金控除を受けられるかどうかが決まります」
たとえば、国連UNHCR協会や日本赤十字社に寄付金を渡せば、寄付金控除等の対象になりますが、Yahoo!ネット募金のような任意団体に寄付金を渡した場合には、寄付金控除等の対象になりません。
したがって、寄付金の税制優遇制度を考えるのであれば、寄付の相手先のホームページ等で、国から指定を受けた認定NPO法人などであるかを確認する必要があります」
廣升税理士はこう説明したうえで、次のように注意点を付け加えていた。
「寄付金控除等を受けるには、寄付の相手先から発行される寄付の証明書等を添付して確定申告をするなどの適切な手続きが必要です。一方で、Yahoo!ネット募金などのネットを通じた募金は、かんたんに寄付を行いやすい環境が整っています。そもそも寄付は、ボランティアで行なうものなので、総合的に勘案して、どちらが良いか判断すればよいでしょう」
【取材協力税理士】
廣升 健生(ひろます・たけお)税理士
前職が代官山の老舗洋菓子店シェ・リュイのパン職人という異色の税理士。大手税理士受験予備校の講師(法人税法)を3年、税務コンサルティングファーム、赤坂の税理士法人での6年間の実務経験を経て2013年1月に廣升健生税理士事務所を開業。フリーランスやスモールビジネスの業務効率化を推進しクラウド型会計ソフトの導入支援、クライアント実績では、税理士事務所最多。2014年7月現在、税理士事務所では唯一のfreee上級アドバイザー。
事務所名:廣升健生税理士事務所
事務所URL: http://youtube.owacon.moe/watch?v=uvL5mJ6-KnE(事務所紹介動画)
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