0.875マイルのショートオーバルを持つアイオワスピードウェイで開催されるベライゾン・インディカー・シリーズ第12戦。11日に行われた予選では、スコット・ディクソンがトップスピードをマーク。チームメイトのトニー・カナーンが2位に入り、ここまで不調のターゲット・チップ・ガナッシのふたりがフロントローとなった。佐藤琢磨(AJフォイト)は、予選16位と苦戦している。
午前中のプラクティス1は始まって15分も経たないうちにに雨。インディカーは出場チームに300周のレースを戦うためのマシンを作るための走行時間を確保させるため、日中に行なわれる予定だった予選と夕方にスケジュールされていたファイナルプラクティスを入れ替えた。
プラクティス2回目も雨で1時間ほどの遅れを被ったがプラクティスは行われ、予選は夕方の6時から無事開催された。
この予選で14番目にコースイン。驚異的スピードを記録して今年初のポールポジションを獲得したのはディクソンだった。キャリア21回目のPPだ。4番目と早い順番でアタックし、トップに立っていたチームメイトのカナーンからディクソンは予選最速の座を奪った。昨年度シリーズチャンピオンのアタック、2ラップの平均速度は186.256mphと昨年カストロネベスが記録したコースレコード(185.687mph)を塗り替えた。
カナーンのスピードは185.891mphだった。そして、彼らのこの数字はとうとう最後まで破られず、ターゲット勢による予選1-2、フロントロー独占となった。
予選3位はポイントリーダータイのエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)。スピードは185.685mphだった。予選4位はライアン・ブリスコ(チップ・ガナッシ)。シボレーエンジンが予選トップ4をスウィープした。しかも、ボウタイ軍団はトップ10に8人を食い込ませ、ホンダ勢を圧倒した。
先週のポコノでカストロネベスにポイントで並ばれたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、アイオワでの予選でも9位で、シーズン中盤戦を迎えて勢いを失っている。
「とても嬉しいね」と久しぶりのポール獲得をディクソンは喜んだ。今年は思いも寄らぬ苦戦を強いられて来ているからだ。「今年はまだ優勝がない。しかし落ち込み続けているつもりはなかった。何週間か前に行ったテストは厳しいものだったが、今週のマシンは夢のように素晴らしいものになっていた」
「今年はドライバーラインアップもエンジニアにも新しいメンバーが加わり、ショートオーバル用のセッティングを変更したが、その成果がコレだ。驚くようなマシンになっていて、走っていて本当に楽しい。今日は先にトニーとライアン(ブリスコ)が走ってアンダーが出たとわかっていたので、フロントウイングを立てて行った。その変更は正しかった」とディクソンは語った。
ホンダユーザーのトップはルーキーのカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)。アイオワで強さを見せるアンドレッティ・オートスポート勢。2011年のアイオワウイナーであるマルコ・アンドレッティは予選8位。2012年ウイナーのライアン・ハンター-レイは予選13位。昨年のアイオワでオーバル初優勝を飾ったジェイムズ・ヒンチクリフは予選14位だった。
佐藤琢磨は、プラクティスで4番時計を記録し、予選で上位グリッドを争うことが期待されたが、予選用セッティングでのマシンはグリップが不足しており、スピードは183.089mphと低く予選結果は16位となった。
「厳しい予選になりました。予選用にダウンフォースを削ったことで、少し問題となっていたマシンの特徴が予選で大きくなってしまっていました」と琢磨は話した。
アイオワはアンドレッティ・オートスポートが得意とするコースだ。3年連続優勝、しかも一昨年と今年は2年連続での1-2フィニッシュを達成している。明日のレース、ガナッシ勢は予選と同じ強さを発揮できるだろうか? それともアンドレッティ勢が立場を逆転させるか? ショートオーバル300周で行われる第12戦決勝レースは、現地20時(日本時間10時)にスタートを迎える。