今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。イギリスGPの週末を通して22人ドライバーのなかから「ベスト・イレブン」を選出。レース結果だけにとらわれず、3日間コース上のプレーを重視してチェック。
(最高点は☆☆☆☆☆5つ)
☆
ジャン・リュック・ベルニュ
1周目で18位に落ち込みながらもワンストップ作戦に徹しつつ、よく抜き上がってきた。昨年はリカルド、今年はクビアトと比べられる彼、あまり気にしない方がいいのだが(ナイーブすぎる?)。
☆☆
ジュール・ビアンキ
モンテゼモロ会長もびっくりのフェラーリPU勢予選最高12位。マルシア・チーム絶妙の「コンディション対応力」とウエットバランスの良さを痛感(5月13日バルセロナテストで驚異のマルシア1位)。決勝14位もフェラーリPUザウバーより速い自己ベストタイムを記録。
☆☆☆
ニコ・ヒュルケンベルグ
“風ナーバス"なマシンで大苦戦しながら濡れた予選で今年ベスト4位。Q3最後のセクター3でロズベルグ以上のタイムアップは彼の腕。そしてしぶとく9戦連続入賞記録を続行中。
小林可夢偉
視野が広いからライコネン事故を回避できた。散乱するF14 Tの残骸物をよけきって左の芝へ。「まるで忍者みたいな動きだ」と世界中のファンがびっくり。忍者姿衣装で時代劇・映画に出演したらどうか、意外に似合うのでは?
セバスチャン・ベッテル
リカルドとセットアップ方向性がかなり違ってきていると思わせる。コーナーのクリップからアンダーステア傾向が出て白線をたびたびオーバー。それはアロンソとの攻防にも現れた。“別人ベッテル"、昨年までとは何もかもが違って映る。
☆☆☆☆
フェルナンド・アロンソ
コプスでのオーバーテイク攻防戦、その他全域で見せたラインワーク。「後ろに目があるアロンソ」。昔サンマリノGPでミハエル・シューマッハーを完封した時にも同じコメントをした。
バルテリ・ボッタス
ますますスキルアップ、進化するドライバーを現在進行形で目撃できる、またとない機会なのでぜひ注目を。ストウ・コーナーで自由自在にスペースを見出し、ここでバンバン抜いて連続表彰台2位。面倒見ているミカ・ハッキネンも大喜び。
ルイス・ハミルトン
モナコGP後、もうひとつ走りが「小さくなった」印象がある。チームメイトとの心理ゲームのせいか、あるいはマシン信頼性に不安があるからか。ここで4点差に迫り、後半戦から走りが再び彼らしく「大きくなる」か。注目ポイントはターンインからのリヤアクション。
ニコ・ロズベルグ
29点差リードを守って一気に逃げようと初日から主導権を獲りに行き、予選Q3も完全にルイスを打倒。しかしあのトラブル脱落で4点差に激減。ここからどちらかといえば、やや彼が“苦手だった"コースが続くが……。
☆☆☆☆☆
ダニエル・リカルド
この3位はまさにドライバー力。チームのエンジニアリングデータを超越した37周(!)もの最長ミディアム走行を自分で決断。やってみる、やらせる、今のレッドブルはこの若い“エース"を再認識したことだろう。ここまでで彼は“マイ・セットアップ"を構築したように見える。
ジェンソン・バトン
ピンクに染まったシルバーストーン、自分も日曜はピンク・ストライプのシャツを着た(父親ジョンさんとは白ワインを痛飲した思い出も)。デビュー15年目の息子は、ある覚悟でもって母国GPに臨んだと勝手に想像する。あのジェンソンが縁石をガンガン攻めるとは、Q1でコース幅オーバー違反しながら幻のトップタイムとは……。ありったけの予選3位、決勝4位、今のマクラーレン戦力では望外のリザルトだ。ファイナルラップで自己ベストタイム、あと1周あれば父に捧げるポディウムだったろう。
☆なし
他11人