ブリティッシュ・ウェザーで混乱したイギリスGPの予選。しかし、その混乱に乗じてチャンスをモノにできなかった可夢偉は、予選後、悔しさをにじませていた。
午後1時からスタートしたイギリスGP予選は、降ったり止んだりという典型的なブリティッシュ・ウェザー。気温16℃、路面温度23℃という状況でスタートしたQ1は、全車インターミディエイトタイヤでコースインするコンディションだった。可夢偉も開始2分後にインターミディエイトを履いてコースイン。1周アタックした後、クールダウンラップを1周入れて、またタイムアタックするという予定だった。ところが、1回目のアタックを行っていた時から、「これはドライで行ける」と可夢偉は判断。2回目のアタックを行うためのクールダウンラップに入らずに、自らピットインを選択した。
可夢偉の判断は間違っていなかった。ドライタイヤ(ミディアム)を装着してコースインした時には雨は完全に上がり、走行ラインは乾き始めていた。ところが、コースインしてすぐに可夢偉のマシンはパワーを失ってしまう。ERS(回生エネルギーシステム)のトラブルだった。チームはECUを一旦リセットするために、可夢偉にピットインの指示を送る。ピットに戻り、5分後再びコースインした可夢偉だが、その時雨が再び降り始めてきた。さらに修復作業も完全ではなく、アタックすることができずにピットイン。可夢偉はまともにアタックできないまま、予選を終えた。
終わってみればQ1は、フェラーリ勢とウイリアムズ勢の速いマシン合計4台が脱落する大波乱の展開となり、マルシャが2台そろってQ2に進出した。
「ドライタイヤに交換した時が、一番良いタイミングだった。あのままアタックしていたら、Q2には問題なく行けたと思う。一番良いタイミングで出て行って、おいしいところをつかみに行ったら、まさかのトラブル……。トラブルというか、どっちかというとミスに近い。信じられへん」
そして、最後にポツリ、こう言った。
「馬鹿だなあ、ホンマに……」
(尾張正博/F1速報)