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『F1速報』のイギリスGP決勝予想:追う者vs追われる者。追う側にも有利な点アリ

2014年07月06日 09:10  AUTOSPORT web

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F1第9戦イギリスGP。予選を6位で終え、自らに失策を責めるようにヘッドレストを放り投げるハミルトン
いやはや、なんという予選でしょうか。Q1でフェラーリとウイリアムズの各2台が脱落しただけでもビックリでしたが、Q3のニコ・ロズベルグとセバスチャン・ベッテルの大逆転劇など、誰が想像できたでしょうか……。

 フェラーリとウイリアムズのQ1敗退要因は、目まぐるしく変わった天候に他なりません。コンディションが良かったのは、セッション中僅か数分。チームの失策を攻めるわけにはいかず、まさに“運が悪かった”としか言いようがないように思います。

 一方Q3。ベッテルがセクター2の計測地点をトップから2.6秒落ちで通過した時、ルイス・ハミルトンのポールポジションが決まったと、誰もが思ったはずです。しかしベッテルは、セクター3だけでこの差を埋めるどころか、1.8秒差を付けてトップに。一瞬、タイミングモニターの誤表示ではないかとすら思いました。直後、諦めずに最後までアタックしたロズベルグがトップタイムを塗り替え、ジェンソン・バトンが3番手、ニコ・ヒュルケンベルグが4番手、ケビン・マグヌッセンが5番手に飛び込みました。それまでトップタイムを記録していたハミルトンは、最後のアタックを途中で諦めてしまったため、6番手まで順位を落としてしまいます。

 ただ、これで決勝レースは面白くなりました。速いマシンが後方から追い上げる、そんな展開になることが予想されるからです。

 メルセデスAMGは、2番手と目されるレッドブルより1周あたり1秒程度速いと思われます。そのため、決勝レースがスタートすると、ハミルトンはすぐに追い上げを開始するはず。しかし、今回はオーストリアのように簡単にはいかないかもしれません。なぜなら、彼の前にはマクラーレンとフォースインディアという、直線スピードが速いマシンがいるからです。

 ハミルトンの予選での最高速は323.4km/hでした。対するバトンとマグヌッセンは321.8km/h、ヒュルケンベルグは320.8km/h、と、ほとんど変わりません。いくらラップタイムが1秒速くとも、直線での速度差が少なければオーバーテイクは難しいはず。ハミルトンはコース上で3台を攻略するのか? それとも、ピット戦略を利用するのか? 要注目です。

 ハミルトンが前記した3人の攻略に苦労するようなら、ロズベルグのレースは非常に楽なものとなるでしょう。また、ベッテルの順位もハミルトンのレース次第。直後に迫られてしまえば、最高速が伸びないベッテルに抗う術はないでしょうが、バトンとヒュルケンベルグを上手く盾として使うことができれば、2位表彰台を獲ることもできるはずです。

 一方、雨に祟られてQ1脱落を喫したウイリアムズのふたりは、スタート直後から着実に順位を上げてくる可能性があります。うまくいけば、数周で9番手あたりまで上がってくるかも。なぜなら、ハミルトンとは逆に最高速に勝るメルセデス製パワーユニット(PU)使用マシンが前にいないから。ウイリアムズは今回もいつもほどではないとはいえ、最高速では優れているはずで、“オーバーテイク向き”なのです。

 フェラーリもロングランのペースは良く、ウイリアムズについていくでしょう。ただ、最高速はウイリアムズには劣るので、先行車をオーバーテイクするのに手こずる場面もあるかもしれません。

 フェラーリとウイリアムズは、タイヤの面でも有利です。予報通り決勝がドライコンディションで行われるなら、彼らは全て新品タイヤでレースを走り切ることができるのです。ピレリの推奨戦略は、ミディアム-ミディアム-ハードと繋ぐ3ストップ。ウイリアムズとフェラーリは、ミディアム2セット、ハード3セットのドライタイヤを残しています。一方、Q2進出組は新品ミディアム1セットしか残しておらず、Q3進出組に至ってはゼロ。この差がどう出てくるかも、興味深いポイントです。

 予選で失敗したために追い上げるドライバーvs好グリッドを獲得して逃げるドライバー。そんな構図が見えてきた今回のイギリスGP。面白くなりそうです。さて、どんな結果になりますか? ご注目ください。
(F1速報)