スロットル全開率60%以上にも関わらず、高いダウンフォースレベルが求められるのが、イギリスGPの舞台であるシルバーストン・サーキットです。マシンのトータルバランスが重要なこのサーキットで速いのは、やはりメルセデスAMGのようです。
フリー走行2回目、ニコ・ロズベルグは圧倒的なペースで駆け抜けました。ミディアムタイヤを履いてのロングランは、他のマシンよりも1周あたり1秒も速いもの。ハードタイヤではおそらくそれ以上の差で、付け入る隙がないというのが実情。前戦オーストリアではウイリアムズに僅差まで迫られましたが、シルバーストンでは状況が異なっているようです。心配はやはりマシントラブル。カナダではMGU-K、オーストリアではブレーキに問題が発生、今回のFP2でもルイス・ハミルトンにトラブルが発生し、ロングランを行えませんでした。
前回メルセデスAMGを苦しめたウイリアムズは、今回はフェラーリとレッドブルに先行を許した4番手評価。フリー走行1回目であまり周回を稼げなかった影響もあるかもしれませんが、フリー走行2回目の結果を見る限り、表彰台争いは難しそうです。
ウイリアムズのマシンはダウンフォースが少ないと言われていて、そのため圧倒的な最高速を発揮することができ、上位に食い込んでいました。しかし前述したとおり、シルバーストンは大きなダウンフォースが必要。ウイリアムズはそのダウンフォースを付けることで、最大の武器を失ってしまった感があります。
今回の2番手は、初日を見る限りレッドブルのようです。セバスチャン・ベッテルはミディアムタイヤを履き、速いペースでのロングランを実施。メルセデスには約1秒及ばないものの、フェラーリより1周あたり0.2秒程度速いペースでした。レッドブルのマシンはウイリアムズとは逆に高いダウンフォースを発生すると言われていて、それがシルバーストンに良くマッチしているようです。ただ、ダニエル・リカルドが「オプション(ミディアム)を上手く使えていない」と言っているように、1周のアタックラップではフェラーリのフェルナンド・アロンソの方が勝っているのも事実。予選に向けてこの点をいかに修正してくるかが、重要になりそうです。
フェラーリのアロンソは、ミディアムタイヤで安定したロングランを行いました。ただこのペースは、ベッテルには及ばず。一方、キミ・ライコネンの走行は不可解でした。彼もミディアムタイヤで10周のロングランを行いましたが、この時のペースがまったく安定しなかったのです。ただ、この10周のうち4周で、メルセデスのロングランに匹敵するラップをポンポンと計測。良い傾向にも見えるのですが、ライコネンは「少しセッティングを変えたら、クルマが全く変わった。これでは良いラップを走るのは難しい」とコメントしており、多くの問題を抱えているようです。
以上4チームの次に速そうなのが、トロロッソです。特にジャン-エリック・ベルニュのミディアムでのロングランが非常に良く、ウイリアムズに迫るペースでした。ホイール脱落によりこのロングランの途中で止まってしまいましたが、このペースが本物ならば、ウイリアムズにとっては脅威。ダニール・クビアトは同じ頃にハードタイヤでロングラン。2台のクルマでプログラムを分け、しっかりとタイヤの評価をしていた印象です。
マクラーレンはベストタイムこそまずまずでしたが、ロングランはここまで挙げてきたマシンには劣っており、決勝では苦労するかもしれません。また、毎戦のように他と違う戦略で上位をかき回すフォースインディアは、セルジオ・ペレスがミディアムで15周、ハードで10周のランを実施。ペース自体はそれほど光るものではありませんが、しっかり両方のタイヤを試している点に、不気味さを感じます。
ところで、このシルバーストンは風が強いことで知られています。今回も各チーム「風が強かった」と口を揃えました。さらに土曜日の午前中は雨の予報で、天候が結果を左右する可能性も十分にあります。さて、今年のイギリスGPはどんなレースになりますか? まずは本日の予選に注目であります!
(F1速報)