2014年07月03日 11:11 弁護士ドットコム
マンションの駐輪場。置いたはずの場所から、いつの間にかバイクや自転車が移動させられていた――。そんな経験はないだろうか。
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弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」にも、マンション駐輪場のバイクが勝手に動かされて困るという悩みが寄せられている。あるときには、屋根の下に停めたバイクが動かされ、雨でびしょ濡れになっていたそうだ。
大切なバイクが雨に濡れれば、メンテナンスの手間もかかる。こういうときには、マンションの管理者に対して「責任をとってください」と要求できるのだろうか。不動産問題に詳しい高島秀行弁護士に聞いた。
「マンションの管理者に責任があるのか、という法律問題を考えるにあたっては、マンションの駐輪場にバイクを置く行為について、マンション管理者との間にどんな契約があるかがポイントとなります」
通常、こうした場合はどんな契約がされているのだろうか。
「2つのパターンが考えられるでしょう。駐輪場に停められたバイクをマンション管理者に預けたと考えられる場合には、『寄託契約』が成立したこととなります」
ひとことでいうと、「預かった物を保管する」という契約だ。
「寄託契約の場合、預かった人(受寄者)は預かった物(寄託物)について、善管注意義務(善良なる管理者としての注意義務)を負います。つまり、管理者は、駐輪場に停められたバイクを適切に管理しなければならないということです」
もうひとつのパターンは?
「これに対して、単に駐輪場の場所を借りただけなら、『賃貸借契約』が成立していると考えられます。あくまで『場所を借りた』だけなので、バイクの管理責任を負うのは所有者自身です」
結局、今回はどちらの契約が結ばれていると考えられるのだろうか。
「たとえば『自由な場所にバイクを置く』というルールの駐輪場なら、それは『賃貸借契約』でしょう。マンション管理者がバイクや自転車を預かって保管しているとはいえませんので、残念ながら管理者の法的責任を問うことは難しいですね。
ただし、その場合でも、マンション管理者に対策をとってもらうよう相談することは考えられます。たとえば、他人のバイクを勝手に移動させないよう、張り紙をしてもらうのはどうでしょうか」
では、そうした場合、バイクを移動させられた人は、泣き寝入りするしかないのだろうか。
「もし、移動させられたことで『損害』が発生した場合、バイクを動かした人を特定できれば、その損害を賠償請求できることになります。
もし、被害が続くようなら、駐輪場に監視カメラを設置できないか、管理者に相談するのも手でしょう」
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
高島 秀行(たかしま・ひでゆき)弁護士
「ビジネス弁護士2011」(日経BP社)にも掲載され、「訴えられたらどうする」「相続遺産分割する前に読む本」「企業のための民暴撃退マニュアル」(以上、税務経理協会)等の著作がある。ブログ「資産を守り残す法律」を連載中。http://takashimalawoffice.blog.fc2.com/
事務所名:高島総合法律事務所
事務所URL:http://www.takashimalaw.com