6月16日~17日に決勝レースが開催された第82回ル・マン24時間耐久レースでワン・ツーフィニッシュを飾ったアウディは、今年のレースで達成した数字に関するファクト集を公開した。
今季、アウディは3台のR18 e-トロン・クワトロをル・マン24時間に投入。一発のスピードではトヨタTS040ハイブリッド、ポルシェ919ハイブリッドに対し劣勢ではあったが、荒れたレース展開でトラブルを即座に修復。マルセル・ファスラー/アンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエ組2号車が優勝、1号車が2位となり、ワン・ツーフィニッシュを飾った。
今回公開されたファクト集は、そんなアウディが築いた成績を物語るものとなっている。以下にアウディが公開した数字をご紹介しよう。
●22%
2014年型のR18 e-トロン・クワトロは、今年のル・マン24時間レースで昨年に比べ22%も少ない燃料で総合優勝を獲得した。今年のレギュレーションではR18 e-トロン・クワトロに大幅な燃費性能向上が求められたが、それに対してエアロダイナミクスの最適化、45kgもの軽量化、4リッターV6 TDIエンジンの新開発、ハイブリッドシステムならびにドライブトレーンの効率向上など技術を駆使してレギュレーションに対応した。
その結果、今年優勝した2号車がレースで使用した燃料は、昨年と比べて22%も少ない量になり、初めてTDIエンジンを導入した2006年と比べると、実に38%もの燃費向上になる。また、優れた燃費に授与されるミシュラン・トタール・パフォーマンスアワード2014を受賞した。
●81.25%
過去16回のル・マン出場で13回の優勝を獲得したアウディの勝率は81.25%となる。1923年以来続くル・マンの歴史の中でも、短期間でこれほど多くの優勝を獲得したチームは、アウディ以外にない。最多優勝記録をもつのは通算16回優勝のポルシェだが、この記録は1970年から現在にかけて更新されたもの。
アウディの優勝は通算13回目となるが、2004年から2008年にかけては5連勝を記録しており、2010年以降はル・マン不敗記録を更新中。
●15回
ラインホルト・ヨースト率いるヨースト・レーシングにとって、今年の優勝は通算15回目になる。ドイツのオーデンワルドに拠点を置くチーム・ヨーストは、15回のうち11回をアウディと、2回をポルシェと、そして1994年にはダウアー・レーシングと、2003年にはベントレーとのパートナーシップのもとで優勝している。
●11回
優勝した2号車は、合計29回のピットストップで11回のタイヤ交換を行った。複数のスティントでタイヤを温存し、合計12セットのタイヤで24時間レースを走り切った。
●5,165.391km
優勝したマルセル・ファスラー/アンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエ組は、計29回のピットストップで5,165.391kmを走破した。マシンを停めていた時間の合計は58分12秒362だった。ル・マンでこれほど長く走り続けていたことは、アウディR18 e-トロン・クワトロ史上はじめてのこと。
●214.927km/h
379周を走破して優勝したマシンの平均速度は214.927km/hだった。最速ラップは、アンドレ・ロッテラーが記録した3分22秒567で、この周の平均速度は242.213km/hに達する。アウディがル・マンでファステストラップを記録するのは通算10回目。
また、ル・マン専用にロングテールバージョンのアウディR18 e-トロン・クワトロが開発されたのは、空気抵抗低減のため。このバージョンはWECのレギュラーマシンに比べ、最高速度が30km/h向上している。
●26万3300人
今年のル・マンには、26万3300人の観客が訪れた。ちなみにマルセル・ファスラー/アンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエ組が優勝した2012年の観客数は24万人、2013年は24万5000人だった。
●4回
今年のレースでは、セーフティカーはわずか4回しか導入されなかった。セーフティカーピリオドの合計時間は1時間38分程度で、速度が60km/hに制限される“スローゾーン"の適用もわずか3回、合計1時間7分だけだった。
●20回
今年の優勝をうけ、リザーブのマルク・ジェネを含むアウディのワークスドライバー10人は、合計で20回のル・マン優勝を獲得した。1999年から今までに、アウディは合計31回の表彰台を獲得。13回の優勝の他には、2位を7回、3位を11回獲得している。
●37勝
今年のアウディの優勝は、TDIエンジンとして8回目、e-トロン・クワトロ・ハイブリッドシステム搭載モデルとして3連勝目、そしてドイツメーカー、クローズホイール・マシン、ターボエンジン搭載モデルとして31回目となった。グループを形成しているフォルクスワーゲングループとしては、アウディ13回、ベントレー6回、ブガッティ2回、そしてポルシェ16回。グループ全体で37回目の優勝となった。
●3回目
マルセル・ファスラー/アンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエ組がル・マンで優勝するのは、過去4年間で3回目。1923年以来続くル・マンの歴史の中で、同一ドライバーの組み合わせによる優勝は、フィル・ヒル/オリビエ・ジャンドビアン組、ジャッキー・イクス/デレック・ベル組、フランク・ビエラ/エマヌエーレ・ピッロ/トム・クリステンセン組が同じく3回の優勝を記録しているだけで、過去に同一ドライバーで4回の優勝を果たした例はない。
3人の優勝は、イギリス人エンジニアのリーナ・ゲイドとの組み合わせでも3回目。2号車に注目すると、今年で8回目のル・マン優勝。アウディはゼッケン2号車で2008年と2011年にも優勝している。
●9台
今年のル・マンでは、9台のレースリーダーが生まれた。LMP1クラスでエントリーした3つのマニュファクチャラーチームは、すべてリーディングラップを記録した。アウディは220周目にトップを獲得し、その後はアウディ同士でトップを入れ替えながら走行し、1号車が66周、2号車が73周のリーディングラップを記録した。