2014年06月29日 14:01 弁護士ドットコム
「あなたには付き合っている相手がいますか?」。転職の採用面接で、こんな質問をする企業があるらしい。ネットの「はてな匿名ダイアリー」には、25歳の女性という投稿者が、面接官に「彼氏はいますか」と聞かれたエピソードを書き込んでいる。
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「この質問はよくある事でしょうか?」「いないと言った方が良かったのでしょうか」「産休育休はないということでしょうか」と、戸惑う気持ちを記している。
友人と飲んでいる時ならともかく、採用面接の場で、企業の面接官からそんなことを聞かれる筋合いはないように思える。採用面接でこのような質問をするのは「違法」ではないのだろうか。労働問題にくわしい白鳥玲子弁護士に聞いた。
「採用選考に当たっての採用者の質問の範囲は、職業安定法第5条の4に定められています。ここでは、個人情報を収集するのは『業務の目的に必要な範囲内』としています」
恋人の有無は聞いても良いのだろうか?
「平成11年労働省告示第141号で示された『指針』によると、次の3つに当てはまるような個人情報は、収集してはならないとされています。
(1)人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地、その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
(2)思想および信条
(3)労働組合への加入状況について」
その3つに「恋人の有無」は含まれていないが・・・。
「そうですね、『付き合っている人はいますか』という質問が、明文で禁止されているわけではありませんから、ただちに違法とまでは言えなさそうです。
しかし、そもそも採用は応募者の適性・能力のみを基準として行うべきです。また、面接での質問は、その範囲に限定されるべきであり、応募者の基本的人権に配慮すべきとされています」
その観点からすると、「付き合っている人がいるか」を質問するのはどうだろうか?
「『付き合っている人はいますか』という質問は、応募者のプライバシーに深く立ち入る内容です。そして、応募者の適性・能力には関係ありません。
『違法』と断定まではできないものの、採用面接で聞いてよいことではありません。クロに近いグレーといえるのではないでしょうか。少なくとも採用側としては慎まなければいけない質問だと考えます」
このように白鳥弁護士は答えていた。
いくら採用面接でも、仕事にまったく関係ないこんな質問に対してまで、誠実に答えなければならないわけではないだろう。もしこんな風に聞かれたら、自分の好きなように受け答えをしておけばいいのではないだろうか。
(弁護士ドットコム トピックス)