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職場の「パワハラ発言」こっそり録音――裁判で「証拠」に使うことができるか?

2014年06月28日 14:11  弁護士ドットコム

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上司から受ける暴言や無視、陰口といった嫌がらせ行為。こういった職場の権力を利用した嫌がらせは「パワーハラスメント(パワハラ)」と呼ばれ、社会問題になっている。


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弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」コーナーにも、上司から陰口をたたかれているという悩みが寄せられている。会社に訴えても事態が良くならなかったため、投稿者は職場にボイスレコーダーを置き、自分がいないときの陰口を録音したそうだ。



投稿者は、その録音を「証拠」として改善を要求したいと考えているが、逆に上司から「違法録音だ」と言われないか心配しているという。こうした録音行為は「違法」なのだろうか。また、隠しどりした音声は裁判などで「証拠」として使えるのだろうか。労働問題にくわしい白川秀之弁護士に聞いた。



●パワハラ・セクハラの証拠集めは「犯罪」ではない


「パワハラやセクハラの証拠として、加害者の声をICレコーダーなどでこっそりと録音すること自体は、なんらの犯罪行為にも該当しません。



また、こっそりと録音したことで、慰謝料等を支払わなければならない、ということもありません」



プライバシーの侵害になるのでは?



「録音場所は、自分の所属する職場です。また、録音した会話のうち、証拠として使うのは被害者(投稿者)のことを話している部分です。少なくとも、会話のその部分は、加害者のプライバシー権を侵害するとはいえません」



では、内緒で録音した内容を、裁判などの証拠に使うことは可能だろうか。



「そうですね。録音した音声データを、パワハラやセクハラを理由とする損害賠償請求訴訟で、証拠として使うことは問題ありません。ただし、もしそれが『著しい反社会的手段により』採集した証拠だと見なされれば、裁判で使えない場合もあります」



●職場の会話の「隠しどり」は証拠になるか?


「著しい反社会的手段」とは、いったい、どんな手段なのだろう。



「録音ならたとえば、『秘密にしておくから』『録音はしていないから』と相手をだまして、こっそり録音をしたような場合でしょう。また、自分以外の第三者と会話している様子を盗聴するような場合も、当てはまるときがあると思います。このような場合には、ケースバイケースですが、証拠として使えないことがあるでしょう」



それでは、今回の事例は?



白川弁護士は「自分がパワハラやセクハラの被害を受けているとき、その証拠を集めるために、職場の会話をこっそり録音する程度でしたら、それを『反社会的』というのは難しいと思います。裁判でも証拠として使えるでしょうね」と話していた。



なかなか無くならないパワハラ・セクハラ。録音などで、しっかりと証拠を集められれば、救済に一歩近づけるかもしれない。


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
白川 秀之(しらかわ・ひでゆき)弁護士
2004年弁護士登録。労働事件が専門だが、一般民事事件も幅広く扱っている。日本労働弁護団常任幹事、東海労働弁護団事務局次長、愛知県弁護士会刑事弁護委員会委員。
事務所名:弁護士法人名古屋北法律事務所
事務所URL:http://www.kita-houritsu.com/