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「103万円・130万円の壁」とは?見直しが進む「配偶者控除」ってどんな制度?

2014年06月27日 15:21  弁護士ドットコム

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「女性の社会進出につながる」「単なる増税だ」。安倍政権が成長戦略の一環として示した「配偶者控除」の見直しをめぐって、さまざまな意見が政治家や有識者の間で飛び交っている。


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「配偶者控除」は、専業主婦や一定の収入にとどまる主婦がいる世帯の税負担を減らそうとする制度。子育てや親の介護で、フルタイムの共働きが難しい家庭にとっては嬉しい制度だが、控除の上限額を年収の目安として労働時間を調整する女性もいるのが実情だ。



夫婦一体の「家族控除」にするなど、代替案の議論も進められているが、そもそも「配偶者控除」とはどんな仕組みなのだろうか。また、なぜ成長戦略に結びついた議論になっているのだろうか。税理士の稲見益輔氏に聞いた。



●配偶者控除で「最大約18万円」の税負担を減少できる


「配偶者控除とは、自分の結婚しているパートナーの年収が103万円以下の場合に、税制上の優遇を受けられる制度です。配偶者控除を受けることで、所得税・住民税を合わせて最大で約18万円の税負担を抑えることができます。



つまり、パートナーが年収103万円を超えると配偶者控除を受られなくなって、税負担が増加してしまうのです」



稲見税理士はこう説明する。



「このため、『私の給料が103万円を超えると、自分にも税金がかかるうえ、パートナーの税負担も増加し、手取りが減るので損だよね』という話をよく聞きます。これが、よく言われる『103万円の壁』です。



さらに、パートナーが年収130万円以上になると、配偶者の社会保険の扶養対象から外れてしまうため、世帯の社会保険料の負担が増える『130万円の壁』もあります」



●配偶者控除の廃止で「女性の社会進出」が進む?


なぜ今、成長戦略のひとつとして、配偶者控除廃止の議論が広がっているのだろうか?



「パート等をしながら家計を支えている妻らが、『103万円の壁』を超えないように働く時間を調整するため、女性の社会進出を妨げているという批判があります。このため、配偶者控除は10年以上前から、廃止が議論されてきました。しかし、控除を廃止すると増税になることもあり、棚上げされた状態が続いています。



これまで、存続か廃止かをめぐって議論を繰り返してきた配偶者控除ですが、安倍首相が今年3月、女性の就労拡大を抑制している制度の見直しと、働き方に中立的な制度の検討を行ってもらいたいと、関係閣僚に指示したことから、廃止の議論が再浮上してきたのです。



安倍政権の成長戦略では、日本経済を持続可能な成長軌道に乗せるため、女性の力を最大限発揮できる環境を整え、ダブルインカムの拡大により世帯の所得向上を図ることを打ち出しています」



たしかに、配偶者控除が廃止されれば、年収103万円以下に抑えて働くメリットが薄れることになるため、フルタイムで働くことを希望する女性が増えることが期待できそうだ。



そのような楽観論も踏まえ、稲見税理士は次のように付け加えていた。



「ある調査では、配偶者控除の廃止により、フルタイムで働くことを希望する女性が倍増するという試算もあるようです。しかし、税の負担や働き方に大きな影響を与えるため、実現に向けては、社会保険制度や子育て支援なども含めて、総合的に考えていく必要があります」



【取材協力税理士】


稲見益輔(いなみ・やすすけ)税理士


1983年生まれ。大手専門学校で法人税法の講師をし、多くの税理士試験合格に貢献する。その後、中央会計では元法人税法講師の経験を活かし、豊富な知識とわかりやすい説明を武器にお客様の倒産・廃業防止に全力を注いでいる。


事務所名:税理士法人中央会計


事務所URL:http://www.chuokaikei.co.jp/


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