2014年06月25日 16:40 弁護士ドットコム
新宿・歌舞伎町の旧コマ劇前広場で、10人ほどの若い女性たちが地面に倒れこんでいる――。そんな衝撃的な写真・動画がSNSに投稿され、大きく拡散した。
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倒れた女性や、それを介抱する男性らの姿が目撃されたのは6月20日の夜。酔った学生も珍しくない花金の歌舞伎町ですら、異様な光景として目を引いたようで、ツイッターでも「やばーい新宿元コマ劇前あれまくり」などと写真が投稿されていた。
昏倒していた若者たちは、明治大学の公認サークルの部員だと判明。同大学は24日、「本学学生がお騒がせしました」として、ウェブサイトに謝罪文を掲載した。「過度の飲酒から起きた」「未成年者も含まれていた」と説明したうえで、結果がわかりしだい、厳正に対処するとしている。
「過度の飲酒」の正確な内容は判明していないが、結果からすれば「かなり危険」な飲み方だったのだろう。動画などには一緒にいたと見られる男性の姿も写っているが、もし彼らが集団で「過度の飲酒」をするような状況を作りだしていたとすれば、それは何らかの罪にならないのだろうか。内川寛弁護士に聞いた。
「一般論ですが、たとえば、女性を酔わせてつぶす目的で飲酒を強要し、急性アルコール中毒や意識障害を起こさせると、傷害罪が成立します。
仮につぶそうという意図がなかったとしても、『過度の飲酒』が危険な行為であることは既に常識だと思われますので、少なくとも過失傷害罪にはなるでしょう。そして、その女性が死亡した場合は、傷害致死罪か、過失致死罪、重過失致死罪のいずれかになり得ます」
では、周りで見ている者の責任はどうなのだろうか。
「周囲で煽るなどして、その人が過度に飲まざるを得ない状況に陥らせた場合、その人たちも共犯として処罰されることがあり得ます。状況次第では、直接的に飲めと強要した人と同等の共同正犯か、正犯者を精神的に後押しした幇助犯(従犯)あるいは傷害現場助勢罪となり得ます」
さらに、内川弁護士によると、「周囲で見過ごしただけの学生も、共犯になることがあり得ます」という。
「たとえば、合コンで女性らを酔わせてつぶす『暗黙の了解』があった場合、ダウン寸前の女性に、さらに大量のアルコールの飲酒を強要するのを、すぐそばで判っていながら止めなかったケースなどでは、共犯と言われてもやむを得ないでしょう。
なお、酔いつぶれた学生が放置され、吐いたものを喉に詰まらせて死亡したら、状況しだいで保護責任者遺棄致死罪が成立します」
このように説明したうえで、内川弁護士は「こうしたケースは、飲んだ学生の自己責任にしてしまうことはできません」と警鐘を鳴らしていた。
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
内川 寛(うちかわ・ひろし)弁護士
あおば法律事務所 共同代表弁護士
熊本県弁護士会・司法制度調査委員会委員長,子どもの人権委員会副委員長
事務所名:あおば法律事務所
事務所URL:http://www.aoba-kumamoto.jp/