2014年06月23日 12:20 弁護士ドットコム
恋愛中の高校生カップルが性行為をしたら、条例違反になってしまうのか――。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにそんな質問が寄せられている。
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書き込みによると、投稿者は18歳の高校3年男子で、彼女は16歳の高校2年。「スキンシップでキスをしたり手を繋いだりしているが、もしかしたら近いうちに性行為に及ぶかも」と、投稿者はつづっている。2人とも恋愛感情があって付き合っているが、もし18歳未満の彼女と性行為をしたら条例違反で処罰されるのではないかと、心配しているそうだ。
質問者のような18歳と16歳の高校生カップルの性行為は、条例違反として処罰の対象となってしまうのだろうか。中田雅久弁護士に聞いた。
「問題となる条例とは、ほとんどの都道府県(と一部の市町村)が定めている、いわゆる『青少年保護育成条例』です。淫行条例とも呼ばれており、その多くは、青少年(18歳未満)との『淫行』などを処罰の対象としています。
たとえば東京都では、青少年との『みだらな性交』や『性交類似行為』が規制され、処罰の対象になっています。
東京都など多くの自治体では、条例に違反した人が18歳未満の『青少年』であるときは、罰則を適用しないことを定めています。しかし、18歳だと、年齢的には処罰対象となり得ますね」
すると、処罰されてしまう?
「そうとも言えません。真剣交際の上での性行為は、条例で規制される『淫行』にはあたらないとされているからです。
福岡県の条例が問題になった事件で、最高裁判所は、規制されている『淫行』とは何かについて、次のように定義しています。
『青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為』」
言葉が難しいのでおおまかにいうと、若さにつけ込み、相手をだまして淫らな行為をしたり、青少年を性欲のはけ口として利用したりした場合には、「淫行」として処罰されるということのようだ。
すると、真剣に交際している高校生カップルだったら、片方が青少年でも処罰されないということだろうか。
「下級審の裁判例では、妻子を持つ飲食店副店長だった男性が、アルバイト店員の高校生(17歳)と性的関係をもったケースでも、『お互いに恋愛感情があった』として、罪に問われなかったケースがあります。
お互いに恋愛感情があれば、常に罪に問われないというわけではありませんが、今回のような高校生同士の恋愛関係の上での性行為は、処罰の対象外だと判断されることが多いでしょう」
過去には、男19歳と女17歳のカップルで、19歳が逮捕された事例などもあったようだが、中田弁護士は、「そもそも青少年保護育成条例は、未熟な青少年を保護するための条例です。形式上1歳違いで青少年には当たらないとしても、同じように未熟な18歳の高校生を処罰することは、その趣旨に反するでしょう」と話していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
中田 雅久(なかた・まさひさ)弁護士
刑事事件、離婚等の個人を依頼者とする事件を中心に幅広く担当する。第二東京弁護士会多摩支部刑事弁護委員会委員長、同両性の平等に関する委員会委員、東京三弁護士会障害者等刑事問題検討協議会委員など。
事務所名:ひめしゃら法律事務所
事務所URL:http://www.himesyara.com/