2014年06月20日 13:21 弁護士ドットコム
いよいよ夏の「甲子園」へ向けた高校野球の県予選が開幕しようとしている。6月21日の沖縄県を皮切りに、全国各地で今年も熱戦が繰り広げられることになりそうだ。
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ところで、高校球児といえば、思い浮かべるのは真っ黒に日焼けした「丸刈り」の姿だ。高野連が昨年、全国の加盟校に実施したアンケートでは、「部員の頭髪の扱いはどのように取り決めていますか」という質問に対し、約8割が「丸刈り」と回答したという。
かつては、公立の中学・高校の多くに「男子生徒の丸刈り」を義務づける校則があったというが、いまではそんな話は聞かなくなった。丸刈りは高校野球のルールで決まっているわけでもないようだが、野球部が「丸刈り」を義務づけることは、法的に問題ないのだろうか。野球が趣味という大久保誠弁護士に聞いた。
「頭髪は身体の一部であり、しかも衣服と違って学校内外で変えることができません。そこで、頭髪をどうするかは、憲法13条によって保障される自己決定権のひとつととらえられています」
どうして、髪型が憲法で認められた「権利」としてとらえられているのだろうか?
「どんな頭髪をするかは、服装以上に文化の選択という側面が強いからですね。したがって、校則によって頭髪を規制する場合は、慎重に検討しなければなりません」
何を検討するのだろうか?
「まずは、何のために規制をしなければならないのか、つまり目的は何かをハッキリさせることですね。さらには、その目的と、頭髪を規制するという手段の関連性が、どこまであるのかという点が重要になります」
以前は、男子中高生は丸刈りという校則も、一般的だった。
「『男子生徒は丸刈りとする』という校則や、校則に基づく指導が妥当かどうかは、これまで、裁判などで争われてきました。裁判では、結論として校則・指導が違法とされたものも、違法ではないとされたものもあります。
一方、弁護士会では、生徒たちから『人権救済申立』をうけた場合、教育委員会に是正勧告を出して、対応を要請するケースがほとんどとなっています」
校則ではなく、野球部内だけのルールとなると、どうだろうか。
「野球部員の丸刈りの目的は何でしょうか。競技それ自体の能力に関係しないことは明らかです。強いていうなら清潔感でしょうか。しかし、かつて丸刈りでない高校が甲子園に出場したことがありますが不潔だったでしょうか?」
丸刈り以外の髪型をすべて不潔と決めつけるのは、難しいように思える。
「そうですよね。よほどの長髪でない限りそのように感じることはないと思います。これまで丸刈りにしてきたのは、単なる慣例に過ぎないでしょう。ですから、野球部内でも丸刈りを義務づけることは違法と評価できると思われます」
髪型について指導できるとすれば、危険であるとか、そういった何か重大な事情があるときぐらい、ということだろう。大久保弁護士は「部活動の指導者も、そろそろ発想の転換が必要ではないでしょうか」と、問いかけていた。
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
大久保 誠(おおくぼ・まこと)弁護士
ホームページのトップページに写真を掲載しているように、野球が趣味です。
事務所名:大久保法律事務所
事務所URL:http://www.ookubolaw.com/