2014年06月19日 22:31 弁護士ドットコム
東京メトロ(地下鉄)の売店で働く契約社員らが、正社員との間に「賃金格差」があるのは労働契約法に違反するとして、東京メトロのグループ会社「メトロコマース」を訴えた裁判の第1回口頭弁論が6月19日、東京地裁で行われた。
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2013年4月に施行された改正労働契約法の第20条では、有期雇用を理由に、正社員との間で不合理な労働条件の格差を設けることを禁じている。今回の裁判は、この規定を根拠とした全国初の裁判ということで注目を集めている。
今回訴訟に踏み切ったのは、契約社員の女性2人と、既に退職した元契約社員の女性2人。意見陳述で、彼女たちは、それぞれの思いを述べた。被告のメトロコマース側は、事前に答弁書を提出したのみで、当事者・代理人ともに欠席だった。
意見陳述で、今年3月に退職した加納一美さんは「売店に入れば、仕事は正社員も契約社員も関係なく、同じようにやらなければ売店業務は成り立ちません。なのに賃金や労働時間は違います。士気はどんどん低下していく一方で、どうにかならないかと考え、会社の労働組合に入ろうとしましたが、契約社員は入れてもらえませんでした」と語った。
また、今年の8月で勤続10年という疋田節子さんは、自身の収入にも触れた。
「私たちの月の手取りは13万~14万円程度。年末年始や5月の連休など休みが多ければ多いほど、月給制ではない私たちの収入は少なくなっていきます。家賃・公共料金などを支払えば、残りはわずかです。
家族手当・住宅手当・職能給など、正社員には当たり前についている手当は、私たちには一切ありません。しかし、65歳の定年だけは正社員と同じです」
口頭弁論終了後、弁護士会館で行われた報告会では、弁護団の青龍美和子弁護士が「今、労働者を守る法律がどんどん改悪されようとしている。そうした中、この労働契約法20条は、非正規労働者の権利を守る、数少ない突破口であり、光だと思う。この規定をどんどん活用したい」と意気込みを語った。
(弁護士ドットコム トピックス)