2014年06月18日 16:41 弁護士ドットコム
世界中で大ヒットしているディズニーのアニメーション映画「アナと雪の女王」。作品の世界にはまりこんで、何度も映画館に通う人も出ているようだが、「アナ雪」がきっかけで離婚話に発展した夫婦もいるのだという。
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情報が書き込まれたのは、ネットの掲示板「2ちゃんねる」。31歳の男性会社員が、この映画を見るために何度も映画館に通う妻に対して、「そんなに面白い?」と聞いたところ、妻は「この作品の良さがわからないなんて人として欠陥品だ」と激怒。離婚を言い渡して、家を出ていったというのだ。
この男性は「離婚したくない半面、好きなものが異なるくらいで人格否定をするような妻と一緒に居たくない」と打ち明けている。この書き込みは、米国のニュースサイト「BuzzFeed」で紹介され、英インディペンデントやニューヨーク・デーリー・ニューズなどの海外メディアにも取り上げられた。
この投稿が本当だったとして、「アナ雪」が好きかどうかといった理由で、離婚は成立するのだろうか。男女トラブルをめぐる法律問題にくわしい山口政貴弁護士に話を聞いた。
「夫婦が相手方の同意なく、離婚することができる事由というのは、民法で定められています。
(1)不貞行為(いわゆる浮気)、
(2)悪意で遺棄されたとき
(3)生死が3年以上不明
(4)強度の精神病にかかった場合
(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
この5つです」
今回のケースでは、(5)の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」にあたるのだろうか。
「過去の裁判において、『重大な事由』にあたるとして、離婚が成立したケースもあります。暴力行為がある場合や過度に宗教活動にのめりこんだ場合、生活費を一切渡さない場合など、客観的に見て、婚姻生活を送るのが難しいといえる事情に限定されているようです」
ということは、今回は「重大な事由」にはあたらない?
「はい、その通りです。たしかに熱狂的なファンの方からすれば、『アナ雪の良さがわからない』というのはどうにも受け入れがたいものなのでしょう。一緒に生活していくことはできない気持ちになるということも、わからないではありません。しかし、残念ながら、これだけでは離婚の理由にはなりません」
では、よく言われる「性格の不一致」とは言えないだろうか。
「性格の不一致は、婚姻生活が送れない事情ではありますが、性格の不一致はどんな夫婦でも存在します。
そもそも、性格の不一致による離婚は、これが原因となってどんなに努力しても関係が修復不可能な状態に至った場合に、例外的に認められるにすぎません。
ですから、単に性格が合わないというだけでは、離婚は認められません」
このように説明したうえで、山口弁護士は「本件の場合、妻側からの離婚請求は現時点では難しいようです。冷却期間を置いて、もう一度、双方で話し合いをしたほうがよいのではないでしょうか」と話していた。
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
山口 政貴(やまぐち・のりたか)弁護士
サラリーマンを経た後、2003年司法試験合格。都内事務所の勤務弁護士を経験し、2013年に神楽坂中央法律事務所を設立。離婚、婚約破棄等を専門に扱っており、男女トラブルのスペシャリストとしても知られる。
事務所名:神楽坂中央法律事務所
事務所URL:http://www.kclaw.jp/