スーパーカーレース：岡山戦は激しいバトルもGT-RとSLSが勝利分け合う

スーパーカーレースシリーズの第5戦、第6戦が6月14～15日に岡山国際サーキットで開催され、第5戦は白井剛／青木孝行組のGTNET MAKERS ADVAN NISSAN GT-Rが優勝。第6戦では土屋武士／Lam YU組のBuddy Club FIST SLSが優勝し、両レースとも激しいバトルが繰り広げられた。そしてカテゴリーIIではNAORYU／佐々木孝太組のAGE-AGE-458が、ついに6連勝を達成し、王座獲得に大きな前進を遂げた。

　初めて「西」で開催されたスーパーカーレースは、FIA GT3によるカテゴリーIが3台、カップカーによるカテゴリーIIが5台と、前回の富士ラウンドよりは台数を減らしてしまう。しかし、ことカテゴリーIは今までになかったラインアップとなり、大いに話題を集めることとなった。海外から初のエントリーがあり、台湾のTeam AAIが2台のメルセデスSLS AMG GT3を持ち込み、土屋とYU、そして阪口良平とHam Chen CHENがドライブすることに。ところが、金曜日の練習中にアクシデントが発生。阪口／CHEN組のBuddy Club RSTRADA SLS AMG GT3がクラッシュし、修復困難なダメージを負ったのだ。

　岡山とあって、京都に本拠を構え、やはりSLSを走らせるGAINERにパーツ提供を申し出るも、レースには間に合いそうもないとなり、そこでチームが下した決断は「GT-Rを購入する」だった！　阪口によれば、すでに「手付けは打っていた」というものの、金曜日の夕方のオーダーで、ニスモが土曜日の早朝に納入してしまったのだから恐れ入る。ただし、新車ではなく中古とはいえ、セットアップもままならぬ状態とあって、今回は勝負度外視に。

　そして、もう1台のエントリーはGTNET MOTOR SPORTSがスーパー耐久で走らせ、第2戦で初優勝を飾ったばかりのGT-R。プログラムに記載はなく、急なエントリーだったのは明らかだが、青木は「月曜日に話をもらって、金曜日から走り始めた」のだとか。これもまたすごい話ではある……。それでも、こちらはセットも進んだ車両とあって、予選では青木が1分30秒557を記録し、白井との合算タイムでポールポジションを獲得する。

　しかし、第5戦の決勝では白井がスタートドライバーを務めるGTNET MAKERS ADVAN NISSAN GT-Rを、Buddy Club FIST SLS AMG GT3の土屋が1コーナーで早々にパス。そのまま土屋は逃げ続けて、17周目に30秒以上のマージンをYUにプレゼントする。しかし、コースに戻ると、GTNET MAKERS ADVAN NISSAN GT-Rは、もう22秒後ろに接近。4周早く交代した青木が、コースがクリアなうちに差を詰めていたからだ。今回がデビューレースというYUにはもうなす術がなく、差はみるみるうちに詰まって28周目にはテール・トゥ・ノーズ状態に。ヘアピンでインを刺し、青木が逆転を果たす。「久々にかなりマジで走っちゃいました」と青木は語り、力強いアシストを受けた白井は「06年のS耐以来」の勝利を喜んでいた。

　日曜日の第6戦では、2台のスタート担当がそれぞれ入れ替わり、GTNET MAKERS ADVAN NISSAN GT-Rは青木に、そしてBuddy Club FIST SLS AMG GT3はYUに。当然、青木が逃げるも、「武士のパートナーのアベレージが1秒も上がっていた」ため、25秒ほどのリードを築くに留まることに。後半は白井に土屋が迫り、ラスト4周で逆転に成功。「やられたから、しっかりやり返しました」と土屋は笑顔で語った。

　一方、カテゴリーIIでは、ここまで4連勝のAGE-AGE-458が、MAXハンデのピットストップ60秒加算をものともせず。第5戦ではNAORYUが逃げ、ピットストップの間に山脇大輔／植田正幸組の炙りや秀苑・シフト997GT3の先行を許すも、佐々木は背後で復帰し、わずか3周で逆転を果たした。

　第6戦ではS耐でチームメイトの経験を持つ、佐々木と植田の対決となるも、「ポテンシャルが違い過ぎて……。アトウッドまでは勝負しようと思っていたのに、あいつスタートうまいから（笑）」と植田。佐々木が逃げて、後を受けたNAORYUもトップを譲らず。「こうなったら全勝狙います！　運もあるんでしょうね、トラブルにも見舞われていないんですから」と、NAORYUは力強く語っていた。次回のレースは、7月5～6日のスポーツランドSUGOが舞台となる。

（はた☆なおゆき）