2号車アウディR18 e-トロン・クワトロが優勝を飾り、1号車も2位を獲得するアウディ勢のワン・ツーとなった今年のル・マン24時間。最終的には5年連続となるル・マン制覇を達成したアウディだが、表彰台に登った2台はともにガレージでの作業で大きく時間をロスしている。ドライバーたちも、この状況を巻き返すのは厳しいと考えていたようだ。
夜明けに7号車トヨタTS040ハイブリッドがトラブルに見舞われたことにより、そこまで同一周回で首位を追っていた2号車がトップを奪取。しかし、夜が明けた現地時間8時過ぎ、2号車はピットへ入った際にガレージへ。ターボチャージャーの交換のため20分以上を失いその時点で3番手まで後退した。
その後、チェッカーまで4時間を切ったタイミングで、首位を走っていた1号車にもトラブルが。ガレージでの作業となり、こちらも3番手まで順位を落とした。アウディスポーツを率いるヴォルフガング・ウルリッヒによると、1号車にも2号車のものと同様のトラブルが発生していたのだという。
「我々はすでにこのターボで勝利していて、過去に問題は発生していなかったんだ」とウルリッヒ。
「今回、これは驚きだったよ。最初のマシン(2号車)に起こったことは以前には起こったことがないものだった。その後、同様の兆候を別のマシン(1号車)にも発見し、同じく交換をしなくてはならなかったんだ」
マシンを駆るドライバーたちも、トラブルが起きた際には遅れを取り戻すのは不可能ではないかと感じていたという。
「ターボの問題が出た時、とてもがっかりしたよ。それを取り戻すのは不可能だからね」と語るのは、終盤5スティントの力走を見せたアンドレ・ロッテラー。
「僕たちはちょっと運が悪かった。でも、知られているようにル・マンでは何が起こるか分からないし、チームが素晴らしい仕事をしてモチベーションを与えてくれたんだ」
マルセル・ファスラーも、「ターボに問題を抱えて5ラップを失った時、それを取り戻すのは不可能だと思ったよ」と、トラブル時の心境をコメント。
「ただ、今回はみんな問題を抱えていた。僕らは全力で走る必要があったが、ペナルティを受けるわけにもいかなかった。プッシュしている時にそれをするのは簡単ではないんだけどね」
ウルリッヒは、今年のレースではトヨタとポルシェの方が速かったが、これまでの経験がアウディに味方をしたのだと語っている。
「我々は他社のレベルにはおらず、最速を刻むことはできなかった。ただ、こうしたことが起こるのは初めてではない」
「24時間の戦略を立て、レースが我々の有利になるようにしなくてはならないんだ」
「これは我々が行ってきた厳しい作業の結果だが、運も味方につけることができたよ」