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ル・マン24時間:タイサン、健闘も悔しい8位。「日本、アジアの代表としてまた戻ってきたい」

2014年06月16日 03:20  AUTOSPORT web

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ひさびさのル・マン24時間に臨んだチーム・タイサンのフェラーリ
14日~15日に行われた第82回ル・マン24時間耐久レースで、LM-GTEアマクラスにフェラーリ458で参戦したチーム・タイサン。中野信治/マーティン・リッチ/ピエール・エハートというトリオで臨んだが、トラブルもほとんどなく大健闘の戦いをみせたものの、8位でフィニッシュした。

 タイサンは2013年にアジアン・ル・マンのGTEクラスでチャンピオンを獲得。紆余曲折を経て今季ル・マン24時間にエントリーを果たし、レース直前になってこの車両を良く知る中野信治をエースに据え、ル・マンに挑んだ。

 しかし「走りはじめから、マシンのセットアップと言えるようなものがテストが不充分でほとんどできなかったんです」と中野が語るとおり、予選1回目ではなかなか思うようにタイムを上げられず。とは言え、LMP2参戦でジェントルマンドライバーに合わせるセット作りを熟知している中野がその経験を活かし、少しずつタイムを上げ「現状を考えると、ベストにはもってこられたのではないでしょうか」という状態で決勝に臨んだ。

 レースでは、中野はもちろんマーティン・リッチも千葉泰常代表をうならせる非常にステディなドライビングを披露。トラブルもほとんどなく、ドイツの強豪ファーンバッハー・レーシングとの混成チームはスムーズな作業で70号車をコースに送り出した。かつてタイサンからドライバーとしてスーパーGTを戦った経験をもつドミニク・ファーンバッハーも、父のチームを統率した。

 ただ、70号車は大健闘とも言える戦いをみせ国際映像でも何度もフィーチャーされるものの、なかなか前との差が縮まらない。「僕自身もチームメイトも大きなミスもなく、チームスタッフもよくやれていたと思います。予想していたよりもいい走りができていましたよね」と中野も振り返ったが、クラス上位がトラブルに見舞われることはあっても、どうしても8番手からポジションが上がらなかった。

 結果的に、タイサンの8年ぶりのル・マン24時間挑戦の結果は、クラス8位。レース後、爽やかな陽光が注ぎ込むピット上のバルコニーで千葉代表にレースの感想を聞くと、「やっぱり8年間来なかったギャップというのは大きいですね」と完走の嬉しさと悔しさが入り混じったような表情を浮かべた。

「レギュレーションが全然変わっていて、LM-GTEアマクラスは2013年モデルを使わなければいけないと読んだんですが、実際に来てみたら14年モデルがバンバン走っていて。その差は3秒あるんです」

「我々は327ラップしましたけど、1周3秒違うと4ラップ違うんですよ。そしたら3位でしょ? そんなのアリかよって(苦笑)。やっぱりそのあたりを判断しきれなかった自分のミスでもあるし、ドライバーがいくら頑張っても追いつけないですからね」

「やっぱりいちばん悔しかったのは自分です。もうこのフェラーリはヨーロッパに置いていきます。だから来年は14年モデルにして、ここの戦い方を良く知っている連中と一緒にやって、信治ともうひとりを日本から呼んでやりたいですね」

 すでに千葉代表の目線は、来季の“リベンジ”を見据えている様子。2015年はニッサンもLMP1に参戦し日本チームは増えそうだが、愛すべき日本のプライベーターの挑戦はまだまだ続きそうだ。

「我々は日本の皆さんと一緒に、アジアン・ル・マンの代表としてまたここに来たい。スーパーGTとのスケジュールにもよりますけど、うまくやっていきたいですね。チーム・タイサンは世界で戦うプライベーターチームですから」