第82回ル・マン24時間耐久レースで、スタートから多くの時間でトップを走行したものの、4時59分に突然ストップしてしまい、リタイアを喫した7号車トヨタTS040ハイブリッドの中嶋一貴が、リタイアの状況について語った。
予選では一貴がアタッカーを担当しポールポジションを獲得した7号車トヨタは、ともに大きなトラブルに見舞われなかった2号車アウディR18 e-トロン・クワトロとともに僅差のトップ争いを展開し、レースの半分近くをリード。悲願の初優勝に向け、夜を乗り切ろうとしていた。
しかし、夜が白みはじめた4時59分、一貴のドライブ中にアルナージュの先で突然7号車はストップしてしまった。7号車は電気系統がすべてシャットダウンしてしまい、一貴は必死にピットと携帯電話で交信しマシンの再始動を目指したが、ル・マンではマシンが自力でピットに帰り着かなければ修復することはできない。5時27分、チームは状況を分析し、正式にリタイア届けを出した。
「アルナージュを過ぎたところで、何の予兆もなく突然止まってしまいました。電源が落ちたので無線も使えない状態で、止まった時には火も出ていたのでその対応でも忙しかったです」とトラブル発生時の状況について語った一貴。
「みんなで良いクルマを作ってくれて、良い流れでここまで快調に走ってきたので、TS040ハイブリッドのパフォーマンスを示す良いレースができたと思いますが、その分期待も高まっていたのでとても残念です。来年も頑張りたいです」
また、トヨタ・レーシングの村田久武モータースポーツユニット開発部部長は、このトラブルが今まで経験がなかったものだったと語っている。
「ハイブリッド系のシャットダウンによるリタイアとなってしまい非常に残念です。ドライバーも復帰すべく試みてくれましたが、メインの電源が落ちた状態でそれもかなわなかった。これまでのテストでも経験のないトラブルなので、詳細は今後調べます」と村田部長。
「応援いただいている関係者をはじめ皆さんの期待も膨らんでいただけに、とにかく残念です」