第82回ル・マン24時間耐久レースに、7号車トヨタTS040ハイブリッドで参戦している中嶋一貴。今季トヨタはWEC世界耐久選手権で開幕2連勝を飾り、LMP1クラス最速の車両となっているが、迎えたル・マンに向け、一貴に意気込みを聞いた。
2012年にトヨタTS030ハイブリッドとともに初めてル・マンに挑んだ一貴。初年度はマシンの信頼性も確立されておらず、自身もクラッシュ等があったが、2年目以降は常にトップを争う存在に。WECでも予選アタッカーを任されたりと、7号車を背負う存在となった。
そんな一貴は、今季はスーパーGTを欠場しル・マンのテストデーに参加。実際のレースウイークに向け調整を進め、水曜日のプラクティスからTS040ハイブリッドをドライブ。7号車はプラクティスでは3番手、予選1回目ではアタック前にオイル系統のトラブルが発生。直後に赤旗になったこともあり、3番手で初日を終えた。
「テストデーと比べるとコンディションが違っていて、少し走りづらかった部分はあるんですけど、悪くはないのかなと。赤旗があったりで少しプログラムとしては進んでいない気がしますけど。なんだか今年は(赤旗が)多いですね」と初日を振り返った一貴。
今季のWECでは8号車が開幕2連勝。当然このル・マンでも直接優勝争いのライバルとなりそうなのは、チームメイトの8号車だ。ただ、一貴は初日の時点で「8号車と比べてもそんなにペースは変わらないとは思います」と言う。今回もアタックを担う一貴は、予選に向けてこう語る。
「トラフィック次第ですね。運次第です。あんまり期待はしていないですけど(笑)。でも、予選は楽しみですね」
ちなみに、フリープラクティスでは2012年にスーパーGTでチームメイトだったロイック・デュバルが大クラッシュ。サーキット中が心配するほどのクラッシュだったが、一貴、そして過去にデュバルが在籍したオレカのスタッフが多く在籍しているチームも同様にデュバルの身を案じていたようだ。
「ロイックのクラッシュはビックリしましたよね……。本当に生きてて良かったです。モニターで見てけっこうヤバそうなイメージでしたから。このチームも半分はオレカなので、ちょっと嫌な雰囲気にはなりました。でも、本当に良かったです」
最後に、愚問ながらズバリ一貴に「今年の目標は?」と聞いてみた。すると、「勝つことです」と力強く答えてくれた。
「昨日はちょっとトラブルもありましたけど、これもある意味運というか(笑)。心配はしていないですけど、逆に昨日のあのタイミングで起こって良かったかな、と思います。僕たちとしては、“トラブルが起きるならあそこしかない”くらいのタイミングでしたからね。トラブルが原因でクラッシュもしてないですし、その後も赤旗で終了になりましたから」
現在のところ、7号車は予選1回目でのトラブル以外は順調と言える。まずは一貴が担う予選に注目していきたい。