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ル・マン24時間:本山哲、2年ぶりのル・マン挑戦「多くのことを吸収したい」

2014年06月12日 07:40  AUTOSPORT web

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今季2年ぶりにル・マン24時間に挑む本山哲
今季、ル・マン24時間耐久レースに環境技術を志向した特別枠“ガレージ#56”から参戦するゼロエミッション・レーシングカー、ニッサンZEOD RC。その中心的存在として参戦する本山哲が、走行開始を前に意気込みを語った。

 特徴的な形状のZEOD RCは、ル・マン24時間の舞台であるサルト・サーキットを電力だけで1周走行できる技術を備えた“ゼロエミッション・レーシングカー”。マシンに搭載された電力駆動と1.5リッター3気筒直噴ターボエンジンの駆動を切り替えることが可能で、EVモードで1周走行した後、エンジン駆動に切り替え回生を行い蓄電、再びEVモードで走ることができる。

 そんなZEOD RCは本山を中心に、グランツーリスモ育ちのルーカス・オルドネスとウォルフガング・ライプという3人がドライバーに就任。「チームメイトのふたりはいろいろなカテゴリーで経験を積んでいるし、実績という面では全然不安はない」とライプを中心に本山、オルドネスがテストを行い、開発が進められてきた。

 すでに土曜日にサルト・サーキットに入った本山は、2012年のニッサン-デルタウイング以来のル・マン参戦。独特の雰囲気の中、「だいぶ雰囲気は慣れましたね。今までも来ているから分かっているけど、やっぱり来ると『またル・マンに戻ってきたな』と実感しますね」とリラックスした様子で語ってくれた。

 今までのZEOD RCの開発状況について聞くと、「フランスとイギリスにテストに行って、クルマなりにはきちんと走れていると思いますし、2年前とは違う目的をもったプロジェクトなので、ドライバーとしてきちんと目標を達成して、チーム、ニッサン、ニスモに貢献できれば」と本山は語った。

 先述のとおりZEOD RCは、電気駆動とエンジン駆動を切り替える新時代のレーシングカー。1周13km以上のサルト・サーキットを走行する場合、どのように駆動を切り替えるのだろうか? これについては、「そのあたりはケース・バイ・ケースで、走る状況によってチームが設定してくれる。ドライバーとしては通常サーキットを走るのと基本の操作は変わらないです。ZEODはル・マンでの経験もないので、どういう風に使うかは興味深いですよね」と本山自身も楽しみにしている様子だ。

 来季、ニッサンはGT-R LMニスモという車名でLMP1クラスに参戦することを決めている。このZEOD RCは、2015年に繋がる活動だ。「根本的にクルマ自体がまったく違うけど、僕自身もそうだし、ニッサン、ニスモにとってもル・マンの経験というのはいろんなところで役に立つと思っています。できるだけ今回は多くのことを吸収していきたいと思います」と本山も未来を見据えた戦いに気合が入っている様子。

 11日にスタートしたフリープラクティスでは、走行開始直後ウォルフガング・ライプがドライブ中にトラブルが発生しストップ。予選でもZEOD RCはマイレージを伸ばすことができなかった。明日の予選2回目以降、ZEOD RCがどんな戦いを展開していくのか。世界中の注目を集めている。