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86/BRZ RACE第4戦:織戸学が今季初V。久保凛太郎が逆転表彰台に

2014年06月09日 22:10  AUTOSPORT web

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GAZOO Racing 86/BRZ RACE第4戦富士 スタートで抜けだした織戸学
GAZOO Racing 86/BRZ Raceの第4戦が、梅雨入りしたばかりの6月7~8日、富士スピードウェイで開催され、2列目グリッドから好スタートを決めた織戸学(TR86クローズEXPLODE)がトップに浮上。そのまま逃げ切って昨年の最終戦以来の勝利を挙げている。

 開幕戦からポールポジションを奪い続けてきた谷口信輝(KTMS 86)が、ウエットコンディションの予選で、なんと1組の2番手に留まることに。その1組のトップは「雨は得意だし、雨にマッチするセットも見つかった」という全日本ジムカーナチャンピオンの若杉将司(mountain K-one 86)。そして2組のトップで、ポールポジションを獲得したのは阪口良平(AREA86倉敷)だった。

 今季2回目の出場で、またしても谷口の前に立ちはだかった宿敵は、「チームから『優勝とファステストラップは獲ったから、次はポールポジションだね』って言われていたんですが、それがいちばん難しい(笑)。タイヤはフロントの方がリヤよりグリップする、FFみたいな感じになっていて、それが乾きかけの最後の路面にマッチしました。グループで1番でもポール獲れないから、せめて7秒5は……と思っていたんで、コンディションに恵まれたこともあって(2分16秒886は)満足しています。明日はきれいなレースをしたいですね」と阪口。2組の2番手は織戸学(TR86クローズEXPLOBE)が獲得した。

 さて、今回からブリヂストンがニュースペックのタイヤを投入したが、最上位は久保凛太郎(CG ROBOT 86 BS w NC)の2組4番手。濡れて低い路面温度に発熱が十分でなく、期待どおりの成果をもたらなさなかったためだ。その久保の脇にはF3ドライバーの山下健太(IDI・アデナウ・BRZ)が並び、ふたりの前には森川基雄(ウイニング制動屋86長谷川運輸)と今村大輔(OKABE JIDOSHA 86μ)がつけていた。

「ドライになれば、良平と僕、織戸くんの間で激しいバトルが繰り広げられるでしょう。ウエットだと予選は、あれがいっぱいいっぱい。たぶんクルマの作りが違うんだろう、という結論になりました」とレース前に語ったのは谷口。日曜日になっても、雨は降ったりやんだりを繰り返し、不安定な状態だったものの、86/BRZの決勝レースを迎える頃には小雨で、セミウエットという状態に。

 45台が並んだフルグリッドから、絶妙のスタートを切ったのは織戸。阪口と若杉の間を割って入るように1コーナーに飛び込み、トップでクリアすることに成功する。その後、谷口が若杉をかわして3番手に浮上。阪口と谷口のバトルが激しくなる間に、織戸はオープニングの1周だけでほぼ1秒のリードを稼いでいた。そして、谷口と阪口による因縁の、目まぐるしく順位が入れ替わるバトルも2周目まで。阪口は、谷口が3周目の1コーナーでチャージをかけガードを固めてからは、徐々に引き離されるようになってしまう。

 織戸と谷口は中盤以降、単独走行に。同じように単独走行となっていた阪口ながら、じわりじわりと近づいていたのが久保だった。8周目に入るとテール・トゥ・ノーズ状態とし、阪口の隙を久保がうかがい続ける。そして、最終ラップの立ち上がりでぴたりとつけた久保は「引っぱれるだけ引っぱって、今まででいちばん早いシフトアップで」スリップストリームから抜け出し、ゴールライン直前で並んでコンマ02秒差での逆転に成功! F3-Nクラスでは常連となっている表彰台に、86/BRZレースでもついに立つこととなった。

「スタートが決まったのが、いちばんの勝因ですね。あれで前に出られて、谷口と良平が争う間に差を広げられて。だけど、最後まで僕だって楽じゃなくて、必死に走っていましたよ」と織戸。

 2位に甘んじた谷口は「織戸くんに迫れるだけの力はなかったね。今回は僕らの作戦が中途半端で、もっとドライよりのセットだったらついていけたかもしれないけど、逆にウエットだったら、良平たちに行かれていたかもしれない。まあ、シリーズを思えば、悪くない順位ではあるし、良平には借りをかえせたし! その代わり、今度は織戸くんに借りを作っちゃった」と反省することしきりだった。

 阪口に続く5位は山下が獲得し、ハコのレース2戦目での入賞は、高い適応力の証明にも。そして、6位は6列目スタートだった山野直也(CABANA BS 86μ)。途中から雨は完全にやんで、限りなくドライコンディションになる中、ブリヂストンのニュースペックが久保の健闘同様、真価をようやく発揮したということか。完全ドライの戦いでは、また違った展開が見られそうである。

(はた☆なおゆき)