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インデカー第8戦テキサス:オーバルスペシャリストのカーペンターが勝利。琢磨は厳しいレースに

2014年06月08日 15:10  AUTOSPORT web

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オーナードライバーとして参戦するエド・カーペンター。通算3勝目を挙げる
テキサス・モータースピードウェイで開催されたベライゾン・インディカー・シリーズ第8戦。今季初のナイトレースは、エド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)が逆転で勝利した。16番手からスタートした佐藤琢磨(AJフォイト)は、残り7周のところでエンジンが壊れリタイアとなった。

 テキサス・モータースピードウェイが誇る巨大なグランドスタンドの向こう側に太陽が傾いた午後7時50分、248周、600キロメートルのレースはスタートが切られた。

 ポールポジションからダッシュしたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)はトップを守り、2番手以下を突き放してレースをリードし続けた。

 レース開始早々、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)のエンジンが瞬く間にブロー。その後もパワーが完全にイニシアチブを握ったレースが続いていった。

 2番手にはトニー・カナーン(チップ・ガナッシ)が浮上。スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)も予選7位から序盤にして上位への進出を果たした。逆に、予選2位だったジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン)はジリジリと後退をしていった。

 昨年度テキサス・ウィイナーのエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)は、14番手スタートから一気に10番手までポジションを上げたが、そこから更に上位に進出するのには苦労をしていた。

 予選12位だったライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は、スタート直後にトップ10入りし、2回目のピットストップを終えた時には7番手を走行。予選6位だったサイモン・ペジナウ(シュミット・ピーターソン・ハミルトン)もマシンの仕上がりが良く、レースが中盤戦に入る頃には3番手に浮上した。

 オーバルスペシャリストで予選5位だったカーペンターは、2回目のピットストップを終えた辺りからスピードアップ。103周目にトップに立った。その後にパワーが再びトップに立ったものの200周を前にカーペンターがトップを奪い返した。まるでパワーが失速したかのように見えたオーバーテイクだった。明確なスピード差をもってカーペンターはパワーをアウト側から、いとも簡単にパスして見せた。そして、そこからは差を広げていった。

 213周目、トップを行くカーペンターと2番手のパワーが最後のピットストップを行った。この少し前にカーペンターはカストロネベスの周回遅れに陥らないため、そしてチームメイトのアシストをするための抵抗に遭い、パワーとの差が縮まっていた。

 両陣営のクルーたちに大きなプレッシャーがかかる状況となっていた。そして、パワー陣営が素晴らしいピットストップを行い、カーペンターとの差を大きく縮めた。

 ところが、この後にパワーはピットスピード違反によるドライブスルー・ペナルティを告げられた。大き過ぎる、手痛過ぎるミスだった。2番手にはカナーンが浮上し、パワーはリードラップ最後尾の6番手に落ちた。

 225周目、カナーンをパスしてモントーヤが2番手に浮上するが、その頃にはカーペンターのリードが16秒にも広がっていた。接戦から一転、カーペンターが大量リードをもって優勝するレースになると思われたが、残り7周で佐藤琢磨(AJフォイト)のエンジンがブローし、フルコースコーションが出されたためだ。

 カーペンターのリードが一気に失われ、同時にカーペンターは優勝を取り逃す危機に見舞われた。後続がフレッシュタイヤに換えてアタックして来る可能性があったからだ。しかし、ピットインする作戦に出てのはパワーとペジナウのふたりだけだった。

 残り2周でグリーンフラッグは振られた。ここからパワーは激しい走りでターゲット・コンビをパス。3番手まで浮上。最終ラップにモントーヤをも抜いて2番手となり、カーペンターの背後0.5247秒にまで迫ってゴールした。自分のピットスピード違反のミスを帳消しにするチャンスを見事にものにしたカタチとなった。

 楽勝を飾るはずだったカーペンターは、最後の最後で危機に晒されたが、落ち着いた戦いぶりで残り2周で振られたグリーンフラッグからトップを守り通し、今シーズン初勝利、キャリア3勝目を挙げた。

「チームのためにも嬉しい勝利だ。インディで大きなチャンスを逃したが、こうしてテキサスですぐ勝てたところは嬉しい。パワーは先頭を走っている時は速かったが、トラフィックの中では僕らの方が速かった。最後のイエローではピットに入れず、難しい状況になった。僕らはグリーンフラッグからの2周をとにかく全力で走るしかなかった」とカーペンターは語った。

 パワーと同じ作戦に出ながら、ペジナウは4位でのゴールとなった。パワーと同じタイミングでピットに入り、パワーのひとつ前のポジションでリスタートを切っていたら結果は違っていただろう。

 シボレーは1-2-3フィニッシュで5勝目。ホンダ勢最上位はペジナウの4位だった。ルーキーのミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン)は、オーバル2戦目で素晴らしい戦いぶりを見せて9位フィニッシュ(レース後繰り上がりで7位に)。

 琢磨はセッティングの決まり切らないマシンで苦戦し、最後はエンジンブローによりリタイア。結果は18位となった。

「スティントの最初はアンダーステアで、右のリヤタイヤがなくなるのがみんなより早く、スティントの後半になるとラップスピードが3マイルとか4マイル遅くなっていました。最後のスティントでは少しその状況も改善されていましたが、それは路面が良くなっていたことが原因だったと思います」と敗因を分析していた。

(Report by Masahiko Amano / Amano e Associati)