トップへ

「悪質な交通事故」に厳罰を科す新ルール「自動車運転死傷行為処罰法」の内容は?

2014年06月08日 11:40  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

危険な運転をしたり、それによって人身事故を起こした場合の「刑事罰」をめぐり、大きなルール変更が行われた。「自動車運転死傷行為処罰法」という新しい法律が5月下旬に施行されたのだ。


【関連記事:あなたの家に「外国人メイド」がやってくる!? 外国人労働者「規制緩和」の狙いは?】



これまで刑法にあった「危険運転致死傷罪」と「自動車運転過失致死傷罪」が、新法に移ったほか、まったく新しいルールも加わった。ただ、現時点ではまだ、こうしたルール変更について、十分に周知がなされているとは言えない気がする。いったい何がどう変わったのだろうか。交通事故にくわしい谷原誠弁護士に聞いた。



●一方通行道路の逆走も「危険運転」に


「新法になって変わった点は、まず『危険運転致死傷罪』の対象が広がったことですね。従来からあった飲酒による悪質な事故などに加え、過去の悲惨な事故を参考に、一方通行の逆走や歩行者専用道路の暴走時などの事故も対象になったのです。



また、危険運転致死傷罪の要件が厳格過ぎるという批判をうけて、要件を緩和し、罰則を緩くした『準危険運転致死傷罪』が加わっています」



●「逃げ得」はなくなる


ほかに、新しく追加された点は?



「飲酒運転で事故を起こした後に逃げてしまって、『危険運転死傷罪』の適用を免れようとする『逃げ得』を防止するための、『発覚免脱罪』が新設されました。



また、無免許による悪質で悲惨な事故が複数発生したことから、これらの事故を起こした場合に加害者が無免許だった時には、適用される刑罰を重くするルールも導入されました」



全体的に、処罰が厳しくなる方向でのルール変更だったようだ。



谷原弁護士は「ただ、今回の法改正にかんしては、準危険運転致死傷罪の要件が曖昧だという批判もあります。今後、適用範囲を明確にして、慎重に運用してゆくことが必要だと思います」と話していた。


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
谷原 誠(たにはら・まこと)弁護士
みらい総合法律事務所代表パートナー
平成6年東京弁護士会登録。著書に「人を動かす質問力」(角川書店)他多数あり。テレビ朝日「報道ステーション」他テレビ出演多数。
ブログ:http://taniharamakoto.com/
弁護士による交通事故SOS:http://www.jiko-sos.jp/
事務所名:みらい総合法律事務所
事務所URL:http://www.mirailaw.jp/