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あなたの家に「外国人メイド」がやってくる!? 外国人労働者「規制緩和」の狙いは?

2014年06月07日 14:00  弁護士ドットコム

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外国からやってきたメイドさんがあなたの部屋を掃除してくれる――。やがてそんな日がくるかもしれない。


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政府は、地域を絞って規制を緩和する「国家戦略特区」で、これまで就労が認められていなかった掃除や子育てなどの家事人材の規制緩和を進めようとしている。将来の全国的な人口減少による労働力不足をおぎなうため、外国人労働者に寄せる期待が高まっているのだ。



しかし、外国人が日本で働いている場面を見かけるのは、特にめずらしいことではない。なぜ、これまで外国人メイドは認められていなかったのか。外国人の労働問題にくわしい池田泰介弁護士に聞いた。



●単純作業労働者の受け入れは慎重だった


「日本国内で外国人が仕事や一定の社会活動をしようとする場合、『日本人配偶者等』や『永住者』など活動制限のない在留資格を除いて、入管法令の規制を受けます」



このように池田弁護士は切り出した。



「この入管法と関係法令は、外国人メイド(家政婦)の雇用について、大使館や外交官が雇う場合や、企業の外国人幹部や外国人弁護士等専門職が一定の要件のもとで雇う場合など、ごく一部の場合だけ、認めていました」



一部の特権階級的な外国人だけが、外国人メイドを雇うことが許されていたようだ。なぜ、こんなにも、メイドという職業は規制されていたのだろうか。



「入管法令では、外国人労働者をどの範囲で受け入れるかについて、政策的な観点を多分に考慮して、ルールを定めています。



非常におおざっぱに述べると、日本政府は、『高度な資格・能力を要する職種の労働者』については積極的に受入れ、『単純作業労働者』の受け入れは慎重に対応するという基本方針を取っています。



そのうえで、外国人労働力に対する需要の状況に応じて、いくつかの特例を設けているというのが現状です」



●目的は「家事負担の軽減と女性の職場での活躍促進」


たとえば、2008年以降、看護師・介護福祉士については、インドネシアやフィリピンから候補者の受け入れが始まり、最近は中国人看護師が増えている。家政婦はどうなるだろうか。



「家政婦は、単純労働の部類に区分けされることや、日本人に需要がそれほど大きくないことから、これまでは就労が認められていませんでした。



しかし、政府は『女性の活躍推進のため』という目的を掲げて、国内の都心部をはじめとした一部の地域で、外国人家政婦の雇用を認めるための検討を進めています。この規制緩和が実現した場合、一部地域で、外国人の家政婦が家に来て、家事や育児の代行をしてくれるサービスを受けられるようになります」



つまり、子育てに追われて仕事ができない女性や、共働きなどで仕事が忙しくて家事がなかなかできない家庭を支援するために、外国人メイドを受け入れるということなのだろうか。



「そういうことになりますね。ただ、こうした目的と外国人家政婦の門戸開放が効果的に結びつくのかについては、慎重な検証が必要です。待機児童問題や子育て環境の改善、女性の中途採用・復職促進は、外国人家事使用人を積極的に受け入れたとしても、ただちに解消に結びつく問題ではないでしょう」



●ビジネスとして成り立つかどうかも課題


たしかに、働く女性が「忙しいから」と言って、ただちに家事をメイドさんに任せるかというと、そうではないだろう。メイドさんが日本人でも外国人でも同様な気がする。



「そうですね。日本の風習としても、留守を他人に任せるサービスを敬遠する人々が多くいるのが現実です。そして、コストが低いという点で、外国人を利用したサービスを期待するとしても、最低賃金をはじめとした労働関係法規の規制は、当然受けることになります」



となると、日本でビジネスとして成り立つかも課題だ。単に受け入れるだけで仕事先がなくては、来てもらったメイドさんたちにも申し訳ない。



「外国人家政婦を派遣する家事代行サービスが、有用なビジネスとして成立するか、あるいは、絵に描いた餅になるか。お題目を掲げて規制緩和をするだけでなく、具体的な制度設計と、事後的なフォローが不可欠になるでしょう」


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
池田 泰介(いけだ・たいすけ)弁護士
外国人に関する法律案件の他に、離婚問題・労働問題をはじめとする国内民事事件についても多く手がける。外国人問題に関わる著作(共著)として、外国人の法律相談(東京弁護士会外国人の権利に関する委員会〔編〕
事務所名:弁護士法人六法法律事務所
事務所URL:http://www.loppo.gr.jp