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スーパーGT:ホンダNSXコンセプト-GTは上位との差を詰められたのか

2014年06月04日 18:10  AUTOSPORT web

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スーパーGT第3戦オートポリスで6位に入賞したRAYBRIG NSX CONCEPT-GT
1日、決勝レースが行われニッサンGT-RニスモGT500が表彰台独占という結果を残したスーパーGT第3戦オートポリス。GT500クラスでは富士向けのロードラッグ仕様のエアロパッケージが採用されるなど、さまざまな注目を集めたレースだったが、大きな関心のひとつにホンダNSXコンセプト-GT勢のパフォーマンスがあった。

 今季、スーパーGT500クラスではDTMドイツツーリングカー選手権と車両規定を統一。オンルールの車両としてGT-RとレクサスRC Fが、そしてJAF-GT500車両として、DTMとの共通モノコックを使いながらミッドシップ化したホンダNSXコンセプト-GTが参戦している。FR用の共通モノコックの使用、ハイブリッドユニット搭載により他車よりも70kg多い重量を背負うなど、多くの技術的な要求を課せられたNSXコンセプト-GTだが、第1戦こそ4台がポイントを獲得したものの、第2戦富士では思わぬ“惨敗”を喫してしまう。

 富士では、予選でNSXコンセプト-GT勢は15台のGT500車両のうち、10番手~15番手を占める結果に。また、決勝レースでもスタート直前にKEIHIN NSX CONCEPT-GTが電気系トラブルに見舞われ、他の4台も熱害によるスロットル周辺の電気系トラブルにより相次いでストップ。熱が冷めれば再び動き出すことはできたが、ウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTがなんとか完走扱いの10位でフィニッシュする結果となった。オートポリスで、ホンダNSXコンセプト-GTは巻き返しを図ることができるのかは大きな注目だったのだ。

 迎えた第3戦オートポリス。土曜の走り出しからニッサンGT-R勢が優位にセッションを進めるが、ホンダ勢ではRAYBRIG NSX CONCEPT-GTが1.3秒遅れの7番手に食い込む。コースサイドで見ていても、開幕時にホンダ勢に見られていたマシンの“跳ね”の問題はかなり少なくなり、ポテンシャルのアップが見て取れた。予選でも2台がQ2に残り、RAYBRIGが6番手、KEIHINが7番手に。2台のミシュラン装着GT-Rが図抜けた速さをみせていたものの、レクサス勢とは僅差の予選となった。

 開幕以降、ホンダの松本雅彦GTプロジェクトリーダーは「セットアップを煮詰めることができていない」と語っていたが、各チームがこのオートポリス戦に向けて「今持っている現状のパフォーマンスをチームが引き出してくれた(武藤英紀)」こと、そしてレースウイークを通じてトラブルが大幅に減少していたことにより、各車のセットアップの詰めが向上したことが結果に結びつきはじめたと言えるだろう。

 翌日の決勝でも、序盤9番手スタートのARTA NSX CONCEPT-GTが7番手を、KEIHIN NSX CONCEPT-GTが8番手を走行する。トップ2台は予選同様に大きく3番手以下を離していたものの、NSXコンセプト-GT勢はレクサスRC F勢とバトルを展開した。

 結果的に松浦孝亮が好走していたARTAはブレーキトラブルにより、ステアリングを引き継いだビタントニオ・リウッツィの走行時にコースアウトを喫し、KEIHINも塚越広大に交代した後、エンジン補機類のトラブルでリタイアを喫してしまう。しかし、小さなトラブルもありながら、RAYBRIG NSX CONCEPT-GTが6位、ジャン-カール・ベルネイのコースアウトがなければさらに上位を走った可能性もあるウイダー モデューロ NSX CONCEPT-GTが7位となった。

「予選で前にいけるとレース展開が読みやすいというか、展開が決めやすくなるので、ソフトタイヤを使ったんです。ただ、それでレースも苦しくなってしまって。でも、作戦として予選で前にいくという意味では良かったです」というのはRAYBRIGのスタートを務めた武藤。

 また、ウイダーをドライブした山本尚貴も「改善されているところはあるし、前回はパフォーマンス以前にトラブルが多かった。今回もトラブルが出たクルマはありましたけど、100号車は6位になったし、僕たちは7位。ペースも悪くなかったですし、第2戦よりは確実に進歩は感じましたね」とパフォーマンスには一定の手応えは得た様子。コーナリングスピードも他車とは遜色なく、車体面では向上が見られたと言えるだろう。

 ただウイダーが途中、タイヤに苦しむZENT CERUMO RC Fとバトルを展開した時、その直線スピードに差があるのは明白だった。もしウイダーを駆っていた山本にZENT同様の直線スピードがあれば、もっと楽に前に出られたはずだ。このパワー面、そして「パフォーマンスは総合的には上がってきている。決勝も(金石)年弘さんのペースは良かったですし、37号車の真後ろにいて、もしかしたら抜けたかもしれなかった。あのままうまく走っていれば3番手争いに加われたかもしれなかったですけど……(塚越)」というトラブルの解消が、今後のホンダNSXコンセプト-GTの課題と言えるだろう。

 今後、暑い時期となりミッドシップで熱の解消が課題となるNSXコンセプト-GT勢にとっては厳しい季節となるが、一方でレギュレーション上、次戦から新しいエンジンが投入できる。第4戦SUGOからホンダNSXコンセプト-GTのパフォーマンスがどう変化するのか、注目していきたい。