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延期になった「AKB握手会」 もしこのまま開かれなかったら「握手券」はどうなる?

2014年05月30日 18:10  弁護士ドットコム

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人気アイドルグループ「AKB48」の握手会で、メンバーやスタッフが切り付けられた事件を受け、主催者のキングレコードは、今後に予定されていた握手会の開催延期を発表した。


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延期ということは、いつか開催されるのかもしれない。しかし、その時期は明らかにされていない。握手券を持っている人の中には「このまま握手会が開催されず、握手券が無駄になってしまうのでは?」と心配している人もいるだろう。



握手券はCDを買ったときについてくるチケットで、それを目当てにCDを買うファンもいる。仮に、握手会がこのまま開催中止となってしまった場合、握手券を持っている人は「どうにかして握手会を開いてくれ!」「開催できないなら、CD代金を返してくれ!」と運営側に要求できるのだろうか。秋山亘弁護士に聞いた。



●「全国握手会」の場合は「代替性」がある


「AKBの握手会に『全国握手会』と『個別握手会』があります」



このように秋山弁護士は切り出した。



「全国握手会は、全国各地で複数回にわたり行われる握手会で、握手券をもっている人はそのうちのどれかに参加して、AKBのメンバーと握手することができます。握手会の運営側からみると、その開催義務は『代替性』があるといえます」



つまり、ある握手会が中止になったとしても、運営側は、別の日時にあらためて握手会を開催する義務があるということだ。



「握手券をもっているファンの側からすると、ある会場での握手会が中止となってしまったとしても、別の会場で開かれる握手会には参加する権利が残っていることになります。したがって、その別の握手会に参加してください、ということになりますね」



●個別握手会が中止になったら?


では、「個別握手会」の場合はどうなのだろう?



「これに対して、個別握手会は、特定の日時・特定の会場・特定の人物と握手する権利です。なので、第三者の妨害行為によって、ある握手会が中止となってしまった場合、AKB握手会の運営側の義務は履行できなくなります」



たしかに、まったく同じ日時、場所、メンバーで握手会を開催するということは不可能だ。不可能な義務を課すことはできないから、握手会の開催義務もなくなるということのようだ。



それでは、個別握手会のチケットの所有者は、握手会が中止になってしまったら、あきらめるしかないのだろうか?



「この場合、第三者の妨害行為を防げなかったことについて、運営側に過失があるかないかで、結論が変わってきます。過失が認められる場合には、握手会が中止になったことによる損害を賠償する義務が生じます」



今回のような事件の場合は、運営側に過失があったといえるのだろうか。



「本件のような第三者による妨害行為が突然なされたケースの場合、事前に犯行予告があったなどの特段の事情がないかぎり、運営側が具体的に予見することは困難だといえるでしょう。



ですので、今回の事件のようなケースでは、運営側に過失があったとは認めにくいのではないかと考えられます」



●主催者「今後の握手会の詳細は後日発表します」


このように述べたうえで、秋山弁護士は「運営側に過失がなければ、握手ができなかったことの責任を運営側に求めることはできないでしょう。責任を求めるのであれば、妨害をした第三者に求めることになります」と説明していた。



ちなみに、AKBの姉妹グループの対応としては、台風などで個別握手会が中止になってしまった場合に、別の日程の握手会に参加できるようにしたり、それに参加できない人に対して返金に応じたりした例があるようだ。



今回、キングレコードは「今後の握手会に関する詳細につきましては、後日発表させていただきます」とウェブサイトで告知しているので、今後の対応が注目される。


(弁護士ドットコム トピックス)



【取材協力弁護士】
秋山 亘(あきやま・とおる)弁護士
民事事件全般(企業法務、不動産事件、労働問題、各種損害賠償請求事件等)及び刑事事件を中心に業務を行っている。日弁連人権擁護委員会第5部会(精神的自由)委員、日弁連報道と人権に関する調査・研究特別部会員。
事務所名:三羽総合法律事務所