2014年05月28日 12:30 弁護士ドットコム
子ども向けゲーム「妖怪ウォッチ」が、「第2のポケモンになるか」と言われるほどの人気だ。2014年1月からテレビアニメも放送され、さらに勢いづいている。とくに、登場キャラクターが描かれた「妖怪メダル」は売り切れ続出で、販売元のバンダイナムコグループは増産体制に入ることを公表している。
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このように品薄状態になっていることもあり、ネット上では親が「妖怪メダル」の購入に一苦労している書き込みが多く見られる。子どもたちの間でも、メダルを交換したり、売買したりするケースがあるかもしれない。ただ、子ども同士のやりとりだと、「やっぱり返して」などトラブルに発展する可能性もある。
このように子ども同士が妖怪メダルを売買をすることに法的な問題はないのだろうか。また、トラブルになった場合はどうすればいいのか。石井龍一弁護士に聞いた。
「満20歳に達しない未成年者は、原則として、単独で契約などの法律行為をすることが認められていません」
このように石井弁護士は説明する。
「未成年者が法律行為をするには、法定代理人(一般には親権者)の同意が必要で、同意を得ないでした法律行為は取り消すことが認められます。物の売買や交換は法律行為にあたるので、未成年者が法定代理人の同意なく行った場合、あとで契約を取り消すことができるわけです」
ただし、これには例外があるのだという。
「法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産については、未成年者が自由に処分できるのです。たとえば、親が子どもに毎月、一定の金額のお小遣いを渡している場合、子どもは自由にそのお小遣いを使うことができます」
こう石井弁護士は説明する。「妖怪メダル」の定価(1袋)は180円。5個買っても1000円程度だ。よほど大量でない限り、妖怪メダルは、子どもの小遣いの範囲で売買できるといえるだろう。つまり、通常の価格のメダルならば、子どもが自由に売ったり買ったりできるのだ。
ただ、最近は人気が過熱しているため、ネットオークションで数万円で取引されているメダルもある。
「子ども同士でも、そんな高額の取引がされているとしたら、お小遣い程度とはいえず、法定代理人の同意が必要になる可能性があります。その場合、もし同意がなければ、あとから売買契約を取り消せるということです」
もし売買契約が取り消されたら、どうなるのだろうか。
「契約が取り消されれば、買った側は売った側に売買のメダルを返還し、売った側は買った側に支払われた代金を返還しなければならなくなります。
しかし子ども同士のことですから、買ったときの代金の額について双方の言い分が食い違ったり、メダルがなくなったとか、傷がついたなどとしてトラブルになることも考えられ、そうなれば双方の法定代理人同士がよく話し合って、解決を図る必要があるでしょう」
では、メダルそのものをめぐって、子どもの間でトラブルが起きた場合はどうか。たとえば、ドラえもんに登場するジャイアンのような子どもが、珍しいレアメダルを持っている子どもを脅して、メダルを奪い取ったり、無理に売らせたりした場合は、どうなるのか。あるいは、メダルをほしがっている子どもに対して、不当に高い値段で買い取らせたりしたときは、どうか。
「このような不当な行為がおこなわれた場合、子どもの年齢によっては、恐喝罪や詐欺罪といった犯罪が成立することもありえます。少年法にもとづく手続がなされることになるほか、その親など子どもの監督者も、民事上の賠償責任を負う可能性があります」
このように説明したうえで、石井弁護士は「親としては、日頃から子どもの行動をよく把握し、不必要にお金を持たせないなどの配慮をする必要があるでしょう」とアドバイスしていた。
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
石井 龍一(いしい・りゅういち)弁護士
兵庫県弁護士会所属 甲南大学法学部非常勤講師
事務所名:石井法律事務所