2014年05月27日 20:40 弁護士ドットコム
手頃な価格で料理を楽しめるファミリーレストラン。食事をするだけでなく、友達などとコーヒーやジュースを飲みながら雑談するのにも好都合の場所だ。ファミレスの場合、何杯でもおかわり自由な「ドリンクバー」があるのもうれしい。
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だが、ファミレスは本来、食事をする場所だ。ドリンクバーだけ注文して、長時間にわたって居座られてしまっては、店の利益にとって打撃だろう。ファミレスに長い時間、居座ることに法的な問題はないのだろうか。田村ゆかり弁護士に聞いた。
「基本的には、ドリンクバーの注文のみでも、長時間ファミレスに居続けることができると考えます」
このように田村弁護士は述べる。なぜだろうか。
「ドリンクバーの料金の中には、飲み物の料金だけでなく、客席・テーブルやトイレなど、店の設備を利用する対価も含まれていると考えられるからです。
特にドリンクバーの料金は、料理と違って、『場所代』としての意味合いが強いと言えるでしょう。閉店時間までずっと居続けても、過度に長いとは言えないと思います」
限度はないのだろうか。
「限度はあります。たとえば、24時間営業の店舗などでは、何日も居続けられるとファミレス側も困りますよね。そのように極端な場合は、店側も退去を求めると思われます。
そして、もし店長が退去を求めたにもかかわらず居続ければ、不退去罪(刑法130条後段、3年以下の懲役または10万円以下の罰金)に当たる可能性があります。
また、たとえば居続けることで悪臭を放つようになり、そのせいで他の客が入らなくなったような場合であれば、ファミレスの営業を妨害したとして、損害賠償(民法709条)を請求される可能性があります」
どうやら法律的には、「何時間以上ならアウト」という明確なルールはないようだ。しかし、過度に長く居座ることがモラルに反することに変わりはない。常識をわきまえた利用を心がけたいものだ。
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
田村 ゆかり(たむら・ゆかり)弁護士
沖縄県那覇市において、でいご法律事務所を運営。平成26年度沖縄弁護士会理事。同年度沖縄県包括外部監査補助者。経営革新等支援機関
事務所名:でいご法律事務所
事務所URL:http://www.deigo-law.com/