モナコGPもメルセデスのふたりがフロントロウを独占。金曜日の原稿にも書きましたが、ここモナコはポールポジションからの勝率が実に9割(ここ10年のデータ)となっており、それを素直に信じれば、開幕からの連勝記録を6に伸ばす可能性は非常に高くなってきました。
メルセデスの2台は、スタートすると後続との差をすぐに開き、逃げの状態に入るでしょう。グリッド順位のまま全車が1コーナーをクリアしたとするならば、予選の結果から計算すると、メルセデスのレースペースを1分21秒だった場合、1周につき0.4秒程度その差が開いていく計算になります。つまり、フィニッシュ時の差は30秒程度と見込まれます。
タイヤのデグラデーションも非常に小さいと思われるので、おそらくタイヤ交換は1回。スーパーソフト→ソフトという順番になるでしょう。しかも、各車が第2スティント目に履くと予想されるソフトタイヤは温まりが非常に悪く、使うのに最適な温度にするためには4~6周程度かかっていたようです。つまり、“アンダーカット”と言われる作戦も難しそう。これも、先頭を走ると予想されるメルセデスの2台にとっては有利なデータと言えます。
とにかく最大の見どころは、メルセデスふたりの接近戦。実力的にもほぼ互角のふたり。前戦スペインでも、ゴールした時の差は0.6秒でした。今回の予選でも、僅か0.059秒の差。Q3最終版、ロズベルグのコースオフにより黄旗が出されていなければ逆転の可能性もあっただけに……それを問われたハミルトンが「何も言うことはないよ」と悔しそうな表情を浮かべたのは、実に印象的でした。当然、ハミルトンは逆襲を狙ってくることでしょうし、ロズベルグもそう簡単にはやられまいと必死の防御を見せるはず。アイルトン・セナvsアラン・プロストのように、非常に熱いチームメイトバトルを期待したいものです。とにかく、ロズベルグにペナルティが出されず、ホッとしました。
ところで、レッドブルやフェラーリに、逆転のチャンスはないのでしょうか? あるとすれば“アクシデント”と“天候”です。
モナコはコース幅も狭く、エスケープゾーンも少ないためにクラッシュが多く、セーフティカー出動が多いサーキットであるということは皆様ご存知のとおり。実にここ10年で8回のレースでセーフティカーが出ています。このタイミングを利用して、レッドブルかアロンソがメルセデス勢の前に出ることが出来れば、勝機は出てくるかもしれません。1992年の伝説のアイルトン・セナvsナイジェル・マンセルのように。
また、天候については、決勝後の夕方に雨が降る予報となっています。この雨が昨日時点での予報よりも早まっており、もしレース終了直前に降雨などということがあれば、大逆転劇が見られるかも。小林可夢偉も土曜日の公式コメントで、「天気予報が正しく、雨が降るようなことがあれば、何かが起こるかもしれません」と語っています。
これまで同様、メルセデス優位は揺るぎません。しかしここはモナコ。何が起きるか分かりません。最後まで目を離せない、手に汗握るレースになることを期待しましょう。