2014年05月22日 20:10 弁護士ドットコム
子どもと会いたい。だけど会えない――。離婚をきっかけに子どもと離ればなれになり、そんな気持ちを抱いて、苦しんでいる親が少なくないようだ。
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たとえば、未成年の子どもが親権をもつ母親と一緒に暮らしている場合、父親が子どもと会うには母親(元妻)の協力が必要なことが多いが、母親が子どもに会わせることを拒むケースがかなりあるという。
弁護士ドットコムの法律相談にも、「面会をさせてもらえない」「こどもが心配」といった親の声が数多く寄せられている。このような場合、子どもに会うためには、どんな手立てがあるのだろうか。離婚トラブルにくわしい大和幸四郎弁護士に聞いた。
離婚によって未成年の子どもと離ればなれになったほうの親は、「面会交流」という制度を利用して、子どもと会う権利が認められている。だが、子どもと暮らしている元配偶者が面会交流に応じない場合、どうすればいいのか。
「約束した面会交流が守られないなら、まずは相手に面会交流をきちんと履行するよう、請求する通知等を書面で送るのがいいでしょう。
それでも履行しない場合は、家庭裁判所に面会交流の調停の申立をします。調停でまとまらない場合は、審判になるでしょう」
このように大和弁護士は説明する。調停や審判を申し立てれば、そこで「一定の結論が出る」ということだ。だが、それでも、相手が面会交流を拒むことがある。
「そのようなときは『履行勧告』という方法があります。すなわち、家庭裁判所に対して、履行勧告を求める申立をすることができます。申立先は調停や審判をした家庭裁判所になります。
家庭裁判所は、相手方に電話して、調査をおこない、相手方に対して、『子供を会わせるよう』勧告してくれます。ただ、履行勧告には強制力はありません」
あくまでも「勧告」だから、相手が承諾しなければ仕方ないということなのだろう。従わなかったら、どうすればいいのか。
「相手方が履行勧告に従わない場合は、『間接強制』という方法が考えられます」
間接強制とは、なんだろう。
「これは、家庭裁判所に『面接交渉に応じない場合は、1回の拒否につき金〇万円支払え』と命じてもらうことで、間接的に面会交流を強制しようというものです。『履行勧告』に応じない場合は、家庭裁判所に、間接強制の申立をすることを考えてみてもよいでしょう」
だが、こちらの方法もあくまで「間接的」な強制で、裁判所の執行官が子どもを強引に連れてきてくれるわけではない。もしかしたら、これでも面会交流が実現しない可能性もある。
「そのような場合は、相手方に対して慰謝料を請求することも考えられます。この点、過去の下級審判例には、離婚調停で月1回の父親(元夫)の面会交流権を決めたのに、これを無視した母親(元妻)に対して、慰謝料500万円の支払を命じたものもあります」
面会交流を実現するためには、このように、さまざまな方法がある。しかし、最終的には元配偶者の協力がないと、子どもとの面会は実現しないということだ。
大和弁護士は「面会交流の主役は、実は子ども自身です。子どものためにも円満な面会交流が行われることを望みます」と話していた。
(弁護士ドットコム トピックス)
【取材協力弁護士】
大和 幸四郎(やまと・こうしろう)弁護士
佐賀県弁護士会。2010年4月~2012年3月、佐賀県弁護士会・消費者問題対策委員会委員長。現佐賀大学客員教授。借金問題、刑事・男女問題など実績多数。元「西鉄高速バスジャック事件」付添人。
事務所名:武雄法律事務所
事務所URL:http://www.takeohouritu.jp/