トップへ

ホンダF1総責任者、新井PLに訊く(2)技術的な課題

2014年05月20日 07:40  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

パワーユニットを実際に供給するまでには、まだまだ解決しなければならない技術的課題があると、新井康久PLは語る
トルクマネージメントについて

――中国GPの会見では「新しいパワーユニットはトルクマネジメントが重要な要素で、それはポジティブばかりでなく、ネガティブも大切だ」とおっしゃっていましたが、それはどういうことですか?

「加速側のトルク分配というのは、いわゆるターボが突然効き出してリヤが暴れないようにすることです。さらに新しいパワーユニットにはMGU-Kという運動エネルギー回生システムがありますから、減速時にもきちんとトルクマネージメントしないとクルマ(の挙動)がギクシャクするという意味です。トルクバンドはプラス側(加速)だけではなく、回生ブレーキのマイナス側(減速)も含めて、すべてをきちんとやらないとエネルギーマネジメントできないんです。むしろエネルギーマネジメントをやるっていうのはトルクマネージメントやるというのと同じこと」

――ポジティブとネガティブ、それぞれのトルクマネージメントで重要なことは?

「ポジティブ、つまり加速のときは、どうやって(パワーを)アシストしてくかです。エンジンだけでいくのか、もしくはエンジンの出力を出しながら回生も使うのか。あるいは、MGU-H(熱エネルギー回生システム)も使うのか。ネガティブ(減速)の方は、今はブレーキ・バイ・ワイヤを使用しているので、メクニカルなブレーキとのバランスをいかに取るかですね。このトルクマネージメントが最大の技術課題だと思っています」

第2チームへの供給に関して

――現在のエンジンマニュファクチャラーはいずれも複数のチームにパワーユニットを供給していますが、ホンダは2015年はマクラーレンへの独占供給を決めています。その理由は?

「やっぱり、今トップを走っているメルセデスさんを見ていても、チームといかに一体となってやっていくかが大切だと思うからです」

――中国GPの会見では、2016年以降は未定とおっしゃっていました。具体的に目算はあるのですか?

「未定であって、供給すると決めたわけではありません。期待値が高いことは嬉しいですけど、実際にはそれどころじゃないと思います。というのも、今までのようにエンジンをポンを渡せばいいというわけにはいかないからです。新しいパワーユニットはいろんな部分が車体と複雑に繋がっているので、インターフェイスがとても大変です。何をどこまで、どういう形で供給するのか? そんなことを今考えてる余裕はありません」
(尾張正博/F1速報)