都市部に住んでいると、夜もネオンが消えることはなく、満点の星空を見る機会はなかなかないもの…。
ここ数年は、キャンドルナイトなど、街の明かを消そうという企画が盛んになっているが、“もしも大都会から一切の明かりが消えたら”というあり得ない世界を表現したのが、フォトグラファーのThierry Cohenさん。
Cohenさんが2010年から創作しているシリーズ「villes eteintes’ (darkened cities)」は、東京やニューヨーク、パリなど世界の主要都市がモチーフ。
まず、正確に場所を記録した大都市の写真を撮影。そして、地球の自転を計算し、その都市で見えていたであろう天空を、サハラ砂漠など星空を邪魔するもののない別の場所でも撮影。
最後に、その2つの写真を合成する、という手法だ。
暗闇の静寂の中に光り輝くあふれんばかりの星空と、うっすらと浮かび上がる巨大建築とゴーストタウンのような街並みは、あまりに対照的で、なんだか恐ろしいほどの存在感を放っている。
この写真を、自然の本来の美しさを鮮烈に表現したものと見るか、はたまた環境破壊や人口爆発など、社会問題を描いたものと見るかは、あなた次第。
私たちが失ってしまった“絶景”の数々を、ぜひじっくりと眺めてみてほしい。
image (c) Thierry Cohen
Thierry Cohen
http://thierrycohen.com/index.html
DANZIGER GALLERY
http://www.danzigergallery.com/artists/thierry-cohen