スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションは19日、スーパーGTクラスI(GT500)の空力パーツについて、第3戦オートポリス、第4戦スポーツランドSUGOの2戦は、本来富士スピードウェイで使用される“ロードラッグ仕様”の空力パーツを使用することを発表した。
今季、スーパーGT500クラスはDTMドイツツーリングカー選手権と車両規定を統一化。共通形状のモノコックを使用するほか、多くのパーツをDTMと共通とし、コストを削減している。しかし、DTMと異なりGT500クラスでは高い燃費性能ながらパワフルでコンパクトな2リッター直4直噴ターボエンジンを採用、ワンメイクのDTMと異なりタイヤメーカーのコンペティションがあり、タイヤの性能が著しく高いなど、DTMと比べても非常にスピード域の高いGTカーとなっている。
すでにスーパーGTは第2戦富士まで終了しているが、第2戦後、既存サーキットの設備に対し新GT500車両の速度域が高すぎ、安全性に一抹の不安の声が挙がっていた。そこで、5月10日~11日にスポーツランドSUGOで行われた公式テストでは、GT500車両に対し“タクシーライド”と呼ばれるダウンフォース削減のパーツが装着されるなど、さまざまなトライが行われていた。
そんな中、5月31日~6月1日にオートポリスで開催される第3戦に向け、GT500クラスの空力仕様がどの形になるのか注目を集めていたが、19日、GTアソシエイションは第3戦オートポリス、第4戦スポーツランドSUGOの2戦に関する空力パーツについて発表。この2戦では、本来富士スピードウェイで行われるレース用に開発された“ロードラッグ仕様”で争われることになった。
今季のGT500車両は、通常コース用のDTM同様のカナードとリヤウイングを装着し高いダウンフォースを生み出す“ハイダウンフォース仕様”と、1.5kmのロングストレートをもち、全体的に速度域が高い富士スピードウェイ用で、高速域を伸ばすための“ロードラッグ仕様”のふたつの空力仕様があり、シーズン開幕前にふたつの空力仕様を登録、それ以外の改良はできないこととなっていた。今回の決定は、ロードラッグ仕様を通常コースで使用することにより、ダウンフォースを低減させるのが狙いだ。
なお、今回発表されたGTアソシエイションからの空力部品の扱いは以下のとおり。
1.使用できるフリックボックス(技術規定細則 3.21.7)は、第2戦富士大会で使用された以下に限定される。
・レクサスRC F:公認番号「GT500-14-003 01/01 VO(LD)」
・ニッサンGT-R R35:公認番号「GT500-14-001 01/01 VO(LD)」
・ホンダNSX R:公認番号「GT500-14-002 02/01 VO(LD)」
2.使用できるリヤウイングは「EB-023-F」に限定される。
まず、“フリックボックス”とは、いわゆるカナード部分のこと。フロントバンパー左右の部分にあたり、富士仕様ではこの部分が通常レースと異なる。また、リヤウイングEB-023-Fとは、今季DTMとGT500の間では多くの共通パーツが採用されており、その呼称を通称“EBパーツ”と呼ぶ。リヤウイングについてはDTM/GT500ともEB-023という共通部品のリヤウイングが採用されており、その富士仕様となる幅広のものが、EB-023-Fというわけだ。
GTアソシエイションでは、今回の空力部品の採用について以下のように理由を記している。
「2014年からGT500車両は、ドイツツーリングカー選手権(DTM)車両と同じ技術規則を採用している。エンジンはスーパーGTは2リッター4気筒直噴ターボエンジンを採用しDTMと比べ高い出力を有している。また、スーパーGTは複数タイヤメーカーが競争するコンペティションタイヤ制度を採用している」
「これらの違いから現在のGT500車両はDTMの想定を超えたコーナリング性能を有し、タイヤへの負荷増加やコーナリング速度の向上に伴うランオフエリアの狭いサーキットでの安全性などの観点より参加メーカーと調整のうえ上記措置を講じることとした」
なお、第5戦富士以降の空力仕様については、別途公表されるという。