2014年05月17日 16:40 弁護士ドットコム
起業は大きなチャレンジだが、最近は若手だけでなく、シニア世代でも起業熱が高まっているようだ。政府が4月に発表した中小企業白書では、2012年の起業者のうち、60歳以上が32.4%を占めた。1979年の6.6%と比べると、大幅な増加が見てとれる。
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若者にはない経験が強みのシニア層。ただ、いざ起業するとなると、いち従業員だったときとは違う知識が必要だ。会社の設立方法ひとつをとっても、それによって、後々支払わなければならない税金の額が大きく変わってくるという。
はじめて会社を設立する際に、必ず知っておくべき税のポイントとは、どんな点なのだろうか。起業にくわしい古尾谷裕昭税理士に聞いた。
「『資本金をいくらにすればいいのか』。これが、会社設立時の決定事項で、最も多く質問をいただく点ですね。
会社設立時の資本金は、ひとことでいえば『事業の元手』で、創業者を含めた株主に出資してもらう初期投資からなります」
このように古尾谷税理士は説明する。税という観点からは、この資本金をいくらに設定するかが非常に重要なのだという。
「特に大きな影響があるのが、消費税の納税義務です。設定しだいで、多額の消費税を払わなくてはいけなくなりますので、ここは最も注意すべき点といえます」
何をどうしたら、消費税の納税義務が変わってくるのだろうか。
「消費税の納税義務は原則として、すべての会社にありますが、特例的に、設立1期目・2期目の会社や、2年前の売上が1000万円未満の会社は、納税義務が免除されています。
ところが、資本金額が1000万円以上の会社については、1期目から消費税の納税義務が発生してくるのです」
つまり、消費税の納税を免除してもらいたいなら、資本金を1000万円未満に抑える必要があるわけだ。
「最初の2期分の消費税免除は、相当なメリットと言えます。資本金を1000万円以上に設定したため、こうしたメリットを受けられなかったと、後で後悔しないようにしましょう。
他にも資本金が1000万円超になると、法人住民税(均等割)が増えるなどの影響もあります。
このように、資本金の設定については、十分気をつけるようにしましょう」
ただ、商売は始めが肝心。出資金は多めに集めたほうが良いとも聞くが・・・。
「会社を設立するために集めた出資金は、その2分の1を超えない額までなら『資本準備金』に設定することができます。資本準備金は資本金と似ていますが、取り崩す際の手続きなどが少し緩やかなど、違いがあります。
資本金が多いほうが会社としての信用度はあがりますが、税金面での優遇措置を考えると、資本準備金にしておくほうが有利な側面もあります」
会社設立時には、こうしたコツがいくつもあるようだ。
古尾谷税理士は「ほかにも、たとえば決算月の設定によって消費税の免税期間が短くなるなど、設立の際の決定事項のなかには、設立後の税金に影響が出てくるポイントがいくつかあります。税金で損をしない会社設立で、その後の本業をスムーズに進めていきたいですね」と話していた。
【取材協力税理士】
古尾谷 裕昭 (ふるおや・ひろあき)税理士
会社設立実績4000社の起業支援に特化したベンチャーサポート税理士法人。「親切・丁寧・迅速に」をモットーとしてわかりやすい会計サービスを提供するほか、マーケティングや経営全般について起業家・経営者のサポートを行う。経済誌や業界紙を中心にメディア掲載実績多数。
事務所名 :ベンチャーサポート税理士法人
事務所URL:http://www.venture-support.biz/
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