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「ファンの望みは“WWE的F1”ではない」。関係者から懸念の声

2014年05月16日 12:40  AUTOSPORT web

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2014年バルセロナテスト2日目 ニコ・ロズベルグ(メルセデス)、新エキゾーストシステムをテスト
現在、F1ではサウンドの改善など、ファンを魅了するためのいくつかの策が検討されているが、その方向性が間違っているのではないかと、ピレリのモータースポーツディレクター、ポール・ヘンベリーが懸念している。

 エンジン規則が変わった今年、F1サウンドに魅力がなくなったとの一部ファンの声を受け、FIAは音の変更を試みることを決め、今週のバルセロナ合同テストで“トランペットエキゾースト”のテストを行った。

 また、来年以降に向けて、ビジュアル面の華やかさを目指し、火花を発生させたり、ブレーキディスクを光らせるなどの案も検討されている。

 ヘンベリーは、ファンが見せ掛けの人為的な華やかさを求めているのかどうか疑問であり、規則変更は慎重に行うべきであると述べた。


「ビジネスを行っている際には、何よりもまず顧客を理解する努力をしなければならない」とヘンベリー。

「F1のようなスポーツが、広範囲にわたって顧客の望みを理解することなく、規則やアイデアを考案するというのは、非常に危険だと私は考える」

「我々はファンの心を引き付けなければならない。彼らが何を見たがっているのか、彼らが何を期待しているのかが重要だ」

「彼らはモータースポーツのWWFバージョンを見たがっているのか。それとも技術レースを期待しているのか。このふたつは両極端に位置している。一般のファンはモータースポーツ最高峰に何を期待しているのか、それをまず理解し、そこから始める必要がある」

「今の状況では、問題をきちんと理解することなくそれを解決しようとしており、本末転倒となっている」

 WWFとは現在のWWE(ワールド・レスリング・エンターテインメント)で、シナリオがあるショー的なプロレスを行う団体。今シーズン前にレッドブル・レーシングのチーフテクニカルオフィサー、エイドリアン・ニューエイも、最終戦のみポイント2倍の規則変更に関して、「F1がWWFのようになってしまう」と述べていた。