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スーパーGT:オートポリスのGT500の空力は何仕様!? 結論はまだ出ず

2014年05月14日 19:00  AUTOSPORT web

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スポーツランドSUGOでの公式テストで、富士用の空力パッケージで走行するENEOS SUSTINA RC F
スーパーGTの2014年シーズンは、5月31日~6月1日に大分県のオートポリスで第3戦を迎えるが、スポーツランドSUGOでの公式テストを経た後、GT500クラスはこのレースでどんな仕様で登場するのか注目が集まっている。

 GT500クラスは今季、DTMドイツツーリングカー選手権と車両規定を統一。共通モノコックを使用した新規定が導入されたが、車体下面で強烈なダウンフォースを発生する新シャシーに加え、燃料流量規制を導入しながらもパワフルな2リッター直4直噴エンジン、また激しい開発競争から生まれたハイグリップなタイヤにより、DTM車両を大きく上回るスピードが実現されている。

 もともとGT500車両は、GTカーによるシリーズとしては世界最高峰の水準にあり、多くの外国人ドライバーからも注目を浴びる存在だった。今季はその速さがさらに大きく増しているが、一方でレースが行われるサーキットは昨年までのまま。「今まではグラベルで止まっていた車両が、今はタイヤバリアまでいってしまう(GTA坂東正明代表)」状況となっており、サーキット側でも対策はしているものの、大きな工事はしようがなく、安全性に一抹の不安が生まれていた。

 もちろん、今季から導入された新シャシーはドライバーをグルリと取り囲むような堅牢で安全性が高いモノコックが使用されているが、坂東代表は「我々は速いレースを目指しているが、それに対して安全性をどう確保していくか。今の日本のレースが開催されるサーキットの中で、どれが見せられるレースなのかを見極めながら、一歩ずつ進んでいかなければならない」と語っていた。

 そんな中、5月10日~11日に開催されたスポーツランドSUGOでの公式テストでは、今季2種類存在するGT500車両の空力パッケージのうち、通常コースで使用されるハイダウンフォース仕様、高速コースの富士スピードウェイで使用されるロードラッグ仕様、そしてDTMでファン向けの同乗走行時にダウンフォースを落とす“タクシーライド”という、ディフューザーにガーニーフラップを装着する仕様がテストされた。

 15台のGT500車両が参加したテストでは、10日の午前は3つの空力仕様が混在。午後はGTアソシエイションからの要請により、全車がタクシーライド仕様となった。翌11日のテストでは、全車がロードラッグ仕様で走行を重ねた。

 ただ高いダウンフォースが要求されるSUGOで、タクシーライド仕様での走行にはチーム、ドライバーから疑問の声も上がった。ブログやTwitterに記しているドライバーも多いが、ダウンフォースの落ち方が大きいことから逆に安全性が低くなるという声もあり、GTAと各ドライバー、チームとの間で多くのミーティングが行われたという。

 ファンに安全で質の高いレースを見せたいという思いは、GTAもチーム、ドライバーも共通のもの。自動車業界が直結するモータースポーツの世界では今後も“安全”は永遠のテーマだ。この問題に対して、今後のGT500クラスの空力はどのパッケージが採用されるのか気になるところだが、GTAではこの件について「ブルテンを発行する予定だが、まだ結論は出ていない」状況だという。このスポーツランドSUGOでの公式テストについての詳しい状況は、次号のオートスポーツにてレポート予定だ。