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ワールドカップの優勝国を賭けよう――仲間内の「賭け事」が許されるのはどんなとき?

2014年05月14日 11:00  弁護士ドットコム

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サッカーワールドカップ(W杯)・ブラジル大会の日本代表が発表された。今回の日本代表は、本田圭佑や香川真司など海外で活躍するタレントを多くそろえ、これまで突破できなかったベスト8以上の成績が期待されている。


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そんなW杯の話題をめぐって、職場の同僚や学校の友だちと盛り上がっている人は多いだろう。なかには、どの国が優勝するか予想し、金品を賭けて遊んでいる人もいるかもしれない。



こうした仲間内での「賭け事」をコミュニケーションの一つだと考えている人も少なくないかもしれないが、そもそも「賭け事」は法律で厳しく規制されている。友だち同士とはいえ、金品を賭ける遊びをしてよいものなのだろうか。ギャンブルに関する法律問題にくわしい津田岳宏弁護士聞いた。



●少額でも「お金」をかけるのは違法


「賭博行為は、刑法185条で規制されており、50万円以下の罰金または科料が科されます。ただし、『一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまる場合はこの限りではない』という例外が定められているのです」



「一時の娯楽に供する物」を賭ける場合は、罪に問われないということか。いったい「一時の娯楽に供する物」とはどんなものなのだろう。



「判例で認められた例には『天丼一杯』や『たばこ1個』があります。たとえば、『負けたほうがランチをおごる』『負けたほうが一杯おごる』程度なら、賭博罪にあたらないでしょう」



そうすると、お金をかけた場合はどうなるだろうか。



「金銭に関しては、金額の大小にかかわらずクロです。たとえ、友達同士で500円程度の少額を賭けた場合も、法律上は、賭博罪にあたる違法行為になるのです」



100円や500円くらいの賭けならかわいい気がする。パチンコはもっと大きなお金が動くと思うが、違法ではない。どう判断すればよいのだろう。



「パチンコやパチスロは、事実上の賭博以外のなにものでもありませんね。パチンコなどが承認されていること等との均衡を考えれば、友達同士で数百円を賭けたにとどまる場合が捕まるというのはいかにも不公平に思えます。



違法性の判断という観点からは,風紀に対する罪である賭博罪については,「公然性」がキーワードです。賭博罪は、もともとの刑法草案では、わいせつ罪と同じく『公然性』が処罰要件とされていました」



●賭博の参加者が増えるほど、違法性が大きくなる


公然性とは、どういう意味を持つのだろう。



「公然とは、平たく言うと、『おおっぴらにする』ということです。公然性の程度は、違法性の程度にかかわってきます。つまり、おおっぴらに賭け事をしている場合は、違法性がより強く問われることになります。



もっとも、現行の賭博罪において公然性は処罰要件ではありませんので、おおっぴらにやっていても、いなくても、賭博が違法であることには変わりありません」



そうなると、友達や同僚など近しい者同士で少額を賭ける程度でも、違法となるのだろうか。



「はい。友達や同僚など近しい者同士で少額を賭けたにとどまる場合は、公然性がなく違法性の程度が小さいので、実際に捕まる可能性は極めて低いでしょう。ただ、違法行為であることには違いないので、やるならば、あくまで自己責任ということになりますね。



また、友達同士や同僚同士であっても、参加者を増やしてトトカルチョをするなど大規模にしてしまうと、公然性が高くなり、問題が多くなるので注意してください」



間近に迫ったW杯。ザックジャパンの勝敗を賭けて観戦するのは楽しいが、賭けるのはお金よりも、観戦後の生ビールくらいにしておこう。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
津田 岳宏(つだ・たかひろ)弁護士
京都弁護士会。京都大学経済学部卒業。著書に「弁護士には聞きにくいー知って助かる!法律相談」(青春出版社)、「賭けマージャンはいくらから捕まるのか」(遊タイム出版)など
事務所名:松枝法律事務所